ウナギの稚魚「シラスウナギ」が全国各地で深刻な不漁

 


ウナギの稚魚、全国で不漁 「2時間粘って数匹」…遡上前にかすめ取る密漁も横行

読売新聞 2023/03/03

ニホンウナギの稚魚「シラスウナギ」が全国各地で深刻な不漁に陥っている。稚魚の産地で養殖ウナギの生産量も全国3位を誇る宮崎県では、2月末時点の採捕量が、過去最低だった2019年漁期の47%にとどまる。

少ない資源をかすめ取る密漁も後を絶たず、漁業者らは来季以降適用される厳罰化に期待をかけるが、摘発自体が難しく、その効果は未知数だ。(波多江航、浜崎大弥)

最低ペース

2月上旬の夜、宮崎県高鍋町の小丸川で、小丸川漁協の組合員らが川面をライトで照らしていた。前田和則組合長(71)は仕掛けた網をのぞき込み、「2時間粘ってまだ数匹だけ」とため息交じりにつぶやいた。

県によると、昨年12月11日の漁解禁から今年2月末までの採捕量はわずか26キロ。県内(73キロ)、国内合計(3・7トン)ともに過去最低だった19年漁期(18年11月~19年5月)でも、2月末時点で55キロあった。県内水面漁協連合会の江上敬司郎会長は「時期が遅れているだけだとも思ったが、過去に経験のない不漁だ」と苦渋をにじませる。

全国の他の産地も、同様に深刻な不漁となっている。19年漁期と比較して、静岡県では2月20日時点で66%、高知県では1月末時点で約37%と低迷する。

国内に出回る成魚ウナギの大半は養殖だ。不漁の見通しとの情報が出回り、昨年末から割高な外国産の稚魚の輸入が急増しているという。宮崎県内の養殖業者は「(資源高で)餌や養殖池の燃油代もかさんでおり、厳しい状況」として、成魚の値上がりを懸念する。

不漁の原因について、近畿大の渡辺俊・准教授(魚類生態学)は「サケのように特定の河川と海を往復する魚ではなく、ある地域の増減の原因を特定するのは難しい」と話す。一方、国内の稚魚採捕量は40年前の3分の1で、東アジア各国でも減少傾向にあり、「河川や海洋の環境悪化の影響もあるとみられ、全体数が減っている。資源管理の徹底が必要だ」と訴える。

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