お金で少子化は解決しないことがわかる韓国中央日報の「韓国が絶滅する?」というコラム

 

(※) この記事の最後のほあに以下の記述があります。

> 2005年に低出産高齢社会委員会が発足してから15年間、220兆ウォン(約23兆円)以上の資金を少子化対策に投入した。それでも人口問題は悪化していった。


【コラム】「韓国」が絶滅する?

中央日報 2022/06/27

「空き家」。空いている住宅を意味するこの言葉は日本の人口減少・高齢化の象徴のようだ。急激な人口減少と高齢化のため高齢の家主が死亡しても売れず、相続人が管理をあきらめて放置した家だ。東京だけで空き家の比率が住宅全体の10%を超えるほどであり、深刻な社会問題になって久しい。

日本ではこうした問題を解決するため、地方自治体ごとに「空き家バンク」を運営している。空き家の情報をオンラインなどに掲載し、希望者の売買をサポートする。入居を望めば無料または安く暮らすことができる。しかしこうした自治体の努力にもかかわらず、景気に活気がある一部の地域で取引されるだけで、投資は多くない。

日本総務省によると、2015年から4年間に住民が一人もなく消えた村が164カ所にのぼる。9日ごとに村1つが消えているということだ。

テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は先月、韓国の人口減少に言及した。

日本の人口が11年連続で減少していることについて「出生率が死亡率を超えるような変化がない限り、日本はいずれ存在しなくなるだろう」と警告した後だ。マスクCEOはツイッターで「韓国と香港は最も速いペースの人口崩壊に直面している」とし、世界銀行の2020年国別出生率の順位表も共有した。

これによると韓国の出生率は0.84人で、200カ国のうち最も低い。世界で人口が最も急速に減少している国が韓国だ。香港は0.87人で199位、日本は186位(1.34人)だった。マスクCEOは「韓国の出生率が変わらなければ3世代のうちに韓国の人口は現在の6%以下に減少するだろう」とコメントした。

最近の韓国経済は風前の灯火のようだ。原油価格が上昇し、サプライチェーン問題で世界はインフレーションの恐怖に包まれている。

各国の中央銀行は物価を抑えようと政策金利を競争的に引き上げて金融を引き締めている。程度の差はあるが、各国の景気沈滞は既成事実化する雰囲気だ。ところが米国など主要国の株式市場の小さな波でも韓国株式市場は大きく揺れる。韓国ウォンも同じだ。少しの衝撃でも為替レートは波打つ。さらに輸出が鈍化し、貿易赤字が拡大している。外部がくしゃみをすれば韓国は風邪をひく状況だ。それだけ韓国経済が外部の衝撃に弱いということだ。

今回の景気沈滞は韓国にとって時期的に良くない。韓国は2020年から人口の減少が始まった。初めて死亡者数(31万人)が出生数(27万人)より多い「デッドクロス」が発生した。人口の減少は成長潜在力を低下させる。さらに世界インフレと景気沈滞という強力な台風が接近している。原材料を輸入・加工して輸出する韓国には大きな打撃だ。

統計庁の将来人口推計によると、総人口は2020年の5184万人から2030年に5120万人、2040年に5019万人、2050年に4736万人に減少する。30年間に釜山の人口(336万人)の1.3倍ほどの448万人(8.6%)が消える。

人口が減れば創業する人が減り、雇用も減少する。こうなると成長が鈍って所得が減る。収入が減れば若者が結婚を避け、子どもを持とうとしない。結局は「人口減少→成長率低下→所得減少→人口減少」の悪循環に入る。英国の人口学者ポール・ウォーレス氏は人口減少が大地震に劣らずマイナスの影響を与えるとし、これを「人口地震」と表現した。

状況がこれほど深刻であるにもかかわらず、政府も民間も総体的な対応をしない。

政策決定権者が主に暮らす大都市では人口減少を肌で感じることができないからだ。また、未来に大きな困難として近づく問題だが任期内には顕著な成果を出しにくい事案であるため優先順位も低い。政権の序盤期にはあれこれと政策を出すと言って騒ぐが、結局はうやむやになる。

2005年に低出産高齢社会委員会が発足してから15年間、220兆ウォン(約23兆円)以上の資金を少子化対策に投入した。それでも人口問題は悪化していった。最悪の状況になればその時には打つ手がない。

いま韓国は徐々に温まっていく水の中のカエルと同じだ。新政権も24日、人口危機対応TFを設置した。過去の前轍を踏まないためには国を救うという使命感をを持って取り組む必要がある。韓国という国を存続させるために。