福井県の肥料価格が昨年比1.7倍に。「これ以上は体力持たない」と生産者の悲鳴

 

(※) 肥料価格の高騰はまだ序盤ですからね……。厳しい状況です。


ロシア侵攻で肥料高騰…価格改定で1.7倍の見通し 福井県の農家が苦悩「これ以上は体力持たない」

福井新聞 2022/05/29

JA福井県5連の冨田勇一会長は5月25日、6月に改定される肥料の価格が前年同期と比べ7割程度上昇するとの見通しを示した。

ウクライナ侵攻を受けたロシア産肥料の輸入停止などが高騰の要因となっており、冨田会長は「農業に与える影響は非常に大きい。国などへ高騰対策を求めていきたい」と話した。

福井市の福井県農業会館で開かれた定例会見で、冨田会長は「6月の価格改定で、肥料の価格が70%ぐらい上がると予測されている。円安がさらに追い打ちをかける可能性もある」と述べた。

農機具燃料や資材の高騰が続き、さらには肥料の大幅な価格上昇が目前に迫り、農業を取り巻く環境は厳しさを増す。県内の農家からは「いつまでこの状況が続くのか」「これ以上は体力が持たない」など苦悩の声が聞こえる。

約15ヘクタールで水稲栽培する坂井市内の男性は、今春の田植え用肥料が前年比で1袋約1千円ほど値上がりしたという。水稲だけで肥料に掛かるコストは35~40万円ほど増えた計算だ。10月には麦の種まきも控え、「肥料高騰のインパクトは大きい。

あぜの管理など人件費が掛かる一方で、コメの値段は上がらず、トラクターの燃料費も含めると、トリプルパンチだ」と嘆く。「肥料に頼らない有機栽培も選択肢として頭をよぎるが、手間などを考えると現実的ではない」と話す。

同市内で農園を営む別の男性は「これまでは規模拡大を目標にやってきたが、今はどれだけコストを抑えられるかが課題。粛々とやっていくしかない」と声を落とす。「農業の次代の担い手不足という課題の前に、今の農家が辞めていってしまう。国や県などには収入を補償するなどの支援をお願いしたい」