スペインが、ふたたび屋外でのマスク義務化

 


スペイン、屋外でのマスク義務化 欧州各国も対策強化

BBC 2021/12/23

スペインのペドロ・サンチェス首相は22日、屋外でのマスク着用を義務付ける方針を表明した。新型コロナウイルスの感染が急激に増えていることを受けたもの。他の欧州各国も、オミクロン変異株の拡大で対策を強化している。

スペインでは過去にもマスク着用が義務化されたが、半年前にそのルールが解除されていた。

サンチェス首相はこの日の議会で、マスク着用義務の関連法がクリスマス前に成立するとの見通しを語った。また、ワクチンのブースター(追加)接種を、これまで以上に軍を派遣して加速させる考えを示した。

首相は「心配はいらない。家族で祝うことはできる」と述べた。

スペインでは21日、新型ウイルス新規感染者が過去最多の4万9823人に上った。半数近くはオミクロン変異株とみられている。

同国は秋にかけてワクチン接種を順調に進め、他国のように厳格な行動制限を実施せずに済んできた。しかし最近になって、オミクロン変異株が急速に拡大。感染率は、1年前の同時期より高い、10万人当たり695人に急上昇した。

■欧州各国が対策を強化

オミクロン変異株は、欧州全域で拡大が進行している。世界保健機関(WHO)は、ヨーロッパが再びパンデミックの中心地になっていると指摘している。

WHOのハンス・クルーゲ欧州地域事務局長は、イギリス、デンマーク、ポルトガルでオミクロン変異株がすでに主流になっていると説明。「2週間ほどで」欧州全域で主流になるとの見通しを示した。

イギリスでは22日、1日当たりの新規感染者が10万6122人となり、過去最多を更新した。

スウェーデンは、ここ1週間で感染者が30%増加したと発表。多くの欧州連合(EU)加盟国と同じく、入国者に陰性証明を義務付けた。

フィンランドも21日夜、同様の義務措置の適用を発表した。

ドイツでは、新型ウイルス危機対策チームのトップを務めるカルステン・ブロイアー軍少将が、年内に3000万人にワクチンを接種する目標について、達成に近づいていると述べた。これまでに2800万人が接種を受けたという。

同国はクリスマス休暇の前後に行動制限を実施する。今月28日からは、個人的な集まりは最大10人までとし、ナイトクラブは営業停止にする。同様の対策は、ヨーロッパの他の多くの国も取っている。

フランスは22日、5~11歳の子どもへのワクチン接種を開始した。12~15歳へのブースター接種は今のところ実施しないとしている。

オーストリアは来週27日から、レストランの営業を午後10時までとする。新年は少人数で祝うよう、政府は国民に呼びかけている。

ポルトガルはバーとナイトクラブに対し、26日以降の営業停止を命じている。

フィンランドでは28日から、バーとレストランが18時で閉店となる。座席数も制限される。

オランダは20日にロックダウンの導入を発表しており、すでに厳しい制限措置を実施している。

アフリカ南部で先月最初に確認されたオミクロン株は、世界各地に広がっている。データからは、感染力の強さがうかがわれるが、より重症化することを示す証拠は今のところない。

WHOによると、欧州地域事務局が管轄する53カ国(ロシア、トルコを含む)のうち少なくとも38カ国で、オミクロン株が検出されている。一部の国ではオミクロン株が主流になっているという。

WHOのテドロス・アダノム・ゲブレイエスス事務局長は22日、どの国も「パンデミックから一気に抜け出る」ことはできないと、各国政府に向けて警告。ワクチンのブースター接種は危機を長引かせるだけだと主張した。その理由として、ワクチンが接種率の高い国に回されており、「新型ウイルスに拡大と変異の機会をいっそう与えている」と指摘した。

テドロス事務局長はまた、ワクチンに関するWHOの見通しについて説明。世界全体の成人をカバーし、来年3月末までに高リスクの人々にブースター接種をするのに十分な量が存在するだろうとした。