二十代によく聴いていた曲(31) -ザ・スターリンのアルバム「トラッシュ」 (1981年)を探し続けた3年間

(コメント)最近、昔の知り合いなどと会うと、「初めて会ってから40年 (@_@)」ということに気づくこともありまして、自分も長いことないなあ、とか思う部分もあり、寝る前に思い出投稿をしようと思います。

ザ・スターリン – trash (1981年)

高校の時、『宝島』という月刊誌を毎月読んでいたのです。

宝島は、別に音楽雑誌ではないですが、音楽の情報も毎回載っていまして、それにより日本の音楽文化というものを知ることになりました。

そこで、1981年頃…私が17、18歳の頃ですかね。記事にザ・スターリンの記事がありまして。以下の写真だと記憶しています。こんなようなものが出ていたんです。なんか全裸で歌ってる。

Alicia Ta’el

「やっぱり東京は暖かいんだなあ」とか北海道にいた私は思いながら(感想が違う)、ザ・スターリンという名前を知りまして、その比較的すぐ後に、レコード屋に行くと、「STOP JAP」というメジャーデビューアルバムが置いてあったんです。

それを購入したのですが、その後、「それ以前にリリースされた自主制作アルバムがある」と知ったのです。

それは、トラッシュ(正確には trash)というアルバムで、「へえ、聴きたいなあ」とか思っていたのですが、これは自主制作アルバムで、北海道の田舎で入手できるようなものではありませんでした。

trashのジャケット

その後、東京に出てきた頃に、気楽な気分で「中古レコード屋で探すかあ」と、都内の中古レコード屋をまわったのですが、下北沢という街にある中古レコード屋さんにあったんですね。

しかし、なんと…。

「 70000円」

という価格がついているわけです。

700円ではなく、7万円です。

「ひ…ひ…ひぇぇぇ…」

と、その場でスターリンのように全裸になって暴れたのですが(いい加減にしろ)、まあ、ウソですが、とても手にできるものではないのだなあと、その時知りました。

他の中古レコード屋でも、ここまでの価格ではなかったですけれど、「万円」以下のものはなかったです。

それで、トラッシュの取得は諦めて過ごしました。

しばらくして、東京の学校で知り合ったウエムラくん(後にこの人とバンドをやります)という麻雀仲間と話をしていたとき、

「トラッシュ聴いたよ」

と言うのです。

「な…」と私は絶句して、「録音した?」とききますと、「してない」と。

ウエムラくんは秋田出身のなかなかの痴れ者で、「高校の時に秋田から京都まで INU (町田康さんの当時のバンド)を観に行った」とかいう人でしたが、トラッシュは「聴いたことがある」というだけでした。

その後も、何人かの人と話している時にも、「見たことがある」とか、「話は聞いたことがある」とか、次第に幽霊とか UFO のような伝聞的な話になっていって、トラッシュを聴くことは諦めていました。

その後、1年か 2年後くらいでしたか、当時の私のいた学生劇団に年下の女の子が入ってきまして、今は友沢ミミヨさんという名前で活躍してらっしゃるイラストレーター、あるいはアーティストの方と何となく話をしているときに、

「トラッシュ、私、テープに録音したの持ってるよ」

と言ったのでした。

「………」

私 「誰がレコード持ってるの?」
彼女「お兄さん」
私 「お兄さんが持ってるの?」
彼女「お兄さんの友だちの、また友だちのお兄さんが持っている」
私 「遠いなオイ。たどり着ける筋じゃないな」

ともかく、私は彼女からカセットテープを借りて、やっと、そのアルバムを聴くことができたのでした。

今も、カセットテープのダビングに次ぐタビングというホワイトノイズだけらけの当時のカセットテープがあります。1981年頃に知って、聴いたのが 1984年頃という長いジャーニーでした。

その trash から 1曲です。「サル」という曲です。映画監督の石井聰亙氏の『爆裂都市』という映画でのシーンで歌われていた同曲のシーンにレコード盤の音をかぶせたものです。レコード盤は「天皇が」で始まる歌詞なのですが、映画では「雌豚が」に変更されていました。まあ、仕方ないですね。

以下は、Gass という曲です・

ザ・スターリンのフロントマンだった遠藤ミチロウさんは、2019年に膵臓がんで亡くなりました。