2025年:史上最大の石油ショックの瀬戸際
internationalman.com 2025/01/27
2025: On the Brink of the Biggest Oil Shock in History
ホルムズ海峡はペルシャ湾と世界の他の地域を結ぶ狭い海峡だ。
これは世界で最も重要なエネルギー回廊であり、代替ルートはない。
世界のトップ 10石油生産国のうち 5か国 (サウジアラビア、イラン、イラク、アラブ首長国連邦、クウェート) はペルシャ湾に面しており、世界最大の液化天然ガス (LNG) 輸出国であるカタールも同様だ。ホルムズ海峡はこれらの国にとって外洋、そして世界市場への唯一の海路だ。
最も狭い地点では、航路として利用できるスペースの幅はわずか 3.2キロメートルだ。
米国エネルギー情報局によれば、世界の石油輸出量の40%以上(約2,100万バレル)が毎日この海峡を通過している。
これは毎日 15億ドル (2300億円)以上の価値がある石油だ。
そして、これは、海峡を通過する膨大な量のLNG(世界の1日当たりのLNG輸出量の約33%)やその他の物資を考慮していない。
ホルムズ海峡が世界経済にとってどれほど重要であるかを強調しすぎることはない。
もし誰かが海峡を混乱させれば、エネルギー価格が急騰し、即座に世界経済の混乱を引き起こすだろう。
イランは、その優れた地理条件と非正規戦や非対称戦の専門知識により、海峡を封鎖することができ、誰もそれに対してできることはあまりない。
それはイランの地政学的な切り札だ。
イランは、戦争になった場合には海峡を閉鎖すると明言している。
言い換えれば、イランは世界経済の喉元にナイフを突きつけているのだ。
米国は 1979年の革命以来、 40年以上にわたりイラン政府の打倒を目指してきた。イランがホルムズ海峡を支配していることは、常に米国の政権転覆の野望と侵略計画に対する大きな抑止力となってきた。
2025年の現在、イランと米国は、ほぼ確実に海峡を混乱させるであろう対立に向かっている。
もし米国とイランの間で戦争が勃発すれば(可能性は高まっている)、イランがホルムズ海峡を閉鎖することは間違いないだろう。
これを深刻な石油供給の混乱と呼ぶのは控えめな表現だろう。
1973年の第一次石油ショックでは、世界の石油市場から約 500万バレルが流出した。当時の世界の石油生産量は 1日あたり約 5,600万バレルだったので、供給量の約 9%が消失したことになる。
原油価格はおよそ4倍になった
1979年の第二次石油ショックの際、世界の石油市場から約 40 万バレルが流出した。当時の世界の石油生産量は 1日あたり約 6,700 万バレルだったので、供給量の約 6%が消失したことになる。
石油価格はほぼ3倍になった
1990年の第 3次石油ショックの際、世界の石油市場から約 43 万バレルが流出した。当時の世界の石油生産量は 1日あたり約 6,600万バレルだったので、供給量の約 7%が消失したことになる。
石油価格は2倍以上に上昇した
もしイランがホルムズ海峡を封鎖すれば、世界市場からなんと 2,100万バレルの石油が消えることになる。現在、世界の石油生産量は1日あたり約 9,600万バレルであり、これは世界の石油供給量の約 22%が消滅する可能性があることを意味する。
これは世界がこれまでに経験した中で最大の石油供給ショックとなるだろう。
イランとの戦争が進み、テヘランがホルムズ海峡を封鎖した場合、原油価格への影響は、原油価格が 4倍に上昇した 1973年の石油ショック時と同程度かそれ以上になるだろうと私は考えている。
今日も同様の動きがあれば、原油価格は 1バレルあたり 300ドル前後になる可能性がある。市場は、イランとの戦争がいかに近づいているか、そしてそれがどのような意味を持つかを理解していないように思う。