[日本の企業倒産は9カ月連続増加、リーマン後で最長更新]という報道

 


倒産は9カ月連続増加、リーマン後で最長更新 14年ぶりの増加局面へ – 2023年1月企業倒産

帝国データバンク 2023/02/08

2023年1月の企業倒産は546件、負債総額は507億6900万円

2023年1月の企業倒産は546件発生した。前年に続いて低水準でのスタートとなったものの、9カ月連続で前年同月を上回った。


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増加期間はリーマン・ショック後の08年6月-09年8月(15カ月間)以来約14年ぶりの増加局面が続いている。

負債総額は507億6900万円となり、前年同月から25.3%の大幅減となるなど、企業倒産は一層の小規模化が進んだ。

ただ、今後もこうした低水準での推移が続くかは不透明だ。

倒産発生が抑制されている背景には、「私的整理ガイドライン」をはじめ、企業の再生や整理の場面で「法的整理の回避」が可能な選択肢が豊富に揃った点が、結果的にプラスとなった側面もあろう。

ただ、大多数はコロナ融資など「資金繰り破綻の延命」政策によって支えられた部分が大きい

足元では今春にピークを迎えるコロナ融資の返済に加え、原材料価格の高騰、実質賃金の減少による内需の冷え込み懸念もある。

今年3月以降、企業倒産の増勢がさらに強まる可能性は拭い切れない。

 

値上げ相次ぐ食品産業、バリューチェーン全体で「値上げは悪」からの脱却急務

ケチャップ、ソース、冷凍食品、チルド麺…2023年も値上げラッシュが止まらない。2023年中に判明した、食品主要195社の値上げ品目数は、1月末時点で累計1万2000品目に達した。値上げ幅は数%から40%超まで様々。

前年より3カ月早い4月中に1万品目を突破することが確定するなど、値上げペースが加速している。

前年同時期の値上げに比べると、23年は2倍超のペースで推移しており、「値上げラッシュ」は月を追うごとに常態化の兆しをみせている。

値上げした食品の99%は、原材料高騰など外的なコストアップが要因だ。

こうした局面では、原料調達から製造、中間流通、販売を含めた食品産業のバリューチェーン(VC)全体で価格転嫁が欠かせない。ただ、現状では最終消費者の抵抗感が強く、コストアップと価格転嫁の間で板挟みとなっている。

昨年12月時点で、100円のコストアップに対し販売価格へいくら転嫁できたか調査した結果、食品産業のVCで最も転嫁が進んでいたのは飲食料品卸売で50円だった。

他方、食品スーパーなど川下の食料品小売では37円と低く、食品製造では36円、飼料や燃料などのコストが急増している野菜、畜産など川上の農林水産では25円、物流を担う運輸・倉庫は全産業でワースト3位の20円にとどまる。

こうした状況を重く見た政府は、正当な理由がない値上げ交渉の拒否は「買いたたき」や「優越的地位の濫用」に当たるとして、強く是正を迫っている。とはいえ、特に消費者に近接する食品産業では、値上げが消費者の買い控えを招き、却って売上減につながるのではという恐怖感が根強い。「値上げは悪」という意識の緩解が先決だ。

昨年は食品製造業の倒産が3年ぶりに増加したほか、コスト増を価格に転嫁できない物価高倒産も食品産業が総じて上位を占める。

増加したコストを売価に反映し、得た利益を従業員の給与に回す、公正なVCの構築が食品産業こそ急務だ。

適正な価格転嫁を受け入れなければ、賃上げどころか食品産業、生産農家などVC全体の萎縮を招き、低い食料自給率が課題として残る日本の食糧事情をさらに悪化させる遠因にもなることに留意しなければならない。

 

従業員離職型」の人手不足倒産に「賃上げ」倒産、今後表面化する可能性も

インフレ圧力が強まるなか、例年以上に注目されるのが「賃上げ」だ。

リクルートによれば、昨年10-12月期に前職比10%以上の賃金アップとなった転職者の割合は過去最高の33.4%を記録した。

物価上昇を契機に「人材流動性」が高まり、賃金を押し上げる好循環がようやく訪れようとしている。実際に、最大40%の年収アップを表明した大手アパレル、5%超の賃上げや、パートも含めた時給アップを行う企業も表れ、優良人材を高賃金で獲得する機運が高まっている。

ただ、賃上げ可能な企業は、業績堅調な大企業や、高い市場シェアを持ち価格コントロールで優位な業界トップ企業、独自技術で高い付加価値を生み出す企業などに限られ、価格転嫁すらままならない多くの中小企業では賃上げ余力に限度がある。

高い賃金を支払う企業へ人材が移動するなか、人材確保のために賃上げしたものの収益確保が見合わず、最終的に経営困難に陥った「賃上げ」倒産も、過去にも複数発生している。従業員の退職で事業が傾いた「従業員退職型」の人手不足倒産とともに、賃上げが絡んだ倒産が今後表面化する可能性がある。