[経営が成り立たない状態…止まらない価格高騰で「エノキダケ」産地から聞こえる悲鳴]という報道

 


経営が成り立たない状態…止まらない価格高騰で「エノキダケ」産地から聞こえる悲鳴 長野・中野市

SBC信越放送 2022/09/22

9月県議会に盛り込まれた価格高騰の緊急対策にはきのこ農家への支援も盛り込まれています。厳しい状況に置かれているキノコの生産現場、現状を取材しました。

生産量日本一を誇るエノキダケの産地・長野県中野市。

エノキダケを育てる「培地」をつくる農事組合法人「ひらの培養センター」の理事・浅沼正勝さんは、価格高騰の現状を、こう訴えます。

「去年あたりから資材費がどんどん上がってきまして、その中で本当に経営が成り立たないんじゃないか、くらいな状態までいま来ています」

エノキダケ栽培に欠かせない重要な資材のひとつでもある「培地」。

養分を加える基材として使われているのが、トウモロコシの芯を砕いた「コーンコブ」です。

「これは輸入です、これがマレーシアのもの、昨年から1キロ10円上がっています、為替が動いていますので、もう1回値上げという話を聞いていますので」

コーンコブは100%輸入品。

円安の影響をもろに受け、2021年の同じ月に比べてすでに1キロあたり10円値上がりしていて、資材費だけで年間およそ4000万円のコストの上昇となっています。

県は、キノコ農家救済のため、開会した9月補正予算案に培地の高騰分を一部補助する費用を盛り込みました。

しかし、高騰しているのは培地の原料だけではありません。

培養センターで機械を動かす電気代は、ひと月あたり200万円増加。

培地の殺菌に使う釜のボイラーや、トラックの燃料費も上がったままです。

このほか、キノコ栽培の温度管理にかかる電気代や出荷する際の運賃、段ボールなどの資材も軒並み値上がりし、卸売価格およそ50円のエノキを出荷するために、2021年に比べ3円以上も経費がかさんでいます。

地元JAのえのき茸部会の部会長も務める浅沼さんは、市場関係者や販売店に窮状を訴えましたが、天候などの影響を受けず、安定して供給されているだけに販売価格への転嫁は厳しいと見ています。

「行政や国の方にお願いしたいのは、本当に我々ただ一生懸命戦後から親の時代からずっとエノキダケやってこういう産業になって、ここでこんな形で終わらせたくないので、ぜひ理解いただいて、緊急的なコスト上昇に対応するようにお願いできればと思っております」