プロトンポンプ阻害薬の長期服用は、高齢者の「転倒と骨折」を増加させる

プロトンポンプ阻害薬(PPI)は、強力に胃酸を抑制する薬で、かなり処方されているものですが、胃ガンを大幅に増加させることがわかっており(記事)、また、偏頭痛の発生確率の大幅な上昇と関係している(記事)ことなどがわかっています。

今回、骨折や転倒と関係していることも知りました。





長期プロトンポンプ阻害薬療法と高齢女性の転倒および骨折

PubMed 2014/11

Long-term proton pump inhibitor therapy and falls and fractures in elderly women: a prospective cohort study

概要

プロトンポンプ阻害薬(PPI)は高齢者に広く使用されているが、最近の複数の研究で、長期の PPI 療法は高齢者の骨折と関連していることが示唆されている。

しかし、そのメカニズムは不明のままだ。

私たちは、高齢の閉経後女性の縦断的人口ベースの前向きコホートの事後解析において、1年以上の長期 PPI 療法と骨構造、転倒、バランス関連機能などの骨折リスク因子との関連を調査し、高齢の閉経後女性の転倒に関する 2つ目の前向き研究で結果を再現した。

長期の PPI 療法は、転倒および骨折関連入院のリスク増加と関連していた。

再現研究では、長期の PPI 使用は、自己申告による転倒のリスク増加と関連していた。

長期 PPI 療法と骨構造との関連は認められなかったが、転倒恐怖による屋外活動の制限や屋内活動の制限、めまい、足のしびれなどの質問票評価による転倒関連指標、およびTUGテスト(動的バランス・歩行・敏捷性などを複合的に診るテスト)や閉眼ロムベルグ試験(目を閉じて直立して行う振動感覚試験)などの客観的臨床測定は、長期 PPI 使用者ではすべて有意に低下していた。

長期 PPI 使用者は非使用者よりもビタミンB12値が低い傾向もあった。

すでに骨折リスクが高い高齢女性における骨折リスクの上昇は、骨構造の損傷ではなく、転倒リスクの増加と転倒を介して媒介されているようであり、長期の PPI 療法を処方する際には慎重に考慮する必要がある。