[ブタの腎臓、人につなげて尿つくる機能確認 米研究]という報道

 

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ブタの腎臓、人につなげて尿つくる機能確認 米研究、専門家も驚き

朝日新聞デジタル 2021/10/23

米ニューヨーク大学のランゴン移植研究所は21日、遺伝子改変したブタの腎臓を一時的に人の体につなげたところ、この腎臓が正常に機能することを確認したと発表した。将来的に遺伝子改変したブタの臓器を移植に利用する異種移植医療につながる可能性があるという。

同大のロバート・モンゴメリー所長らのチームは9月25日、脳死判定された人の太ももの血管に、遺伝子改変したブタから摘出した腎臓をつなげる移植手術を実施。尿をつくる機能が確認できたほか、54時間の観察時間中に拒絶反応は起きなかったという。

ブタとヒトは違う動物の種類のため、通常は臓器を移植すると強い拒絶反応がおきる。今回の実験に使ったブタは、免疫反応に関係する「アルファ・ガル」と呼ばれる遺伝子が働かなくなるよう操作した。腎臓と同時に胸腺も移植し、免疫を抑える工夫をした。

(参考資料)

『ウイルスの意味論 生命の定義を超えた存在』書評より

RNAウイルスは転写の際にエラーチェック機構が無いので、非常に突然変異を起こしやすいとされている。特に注目すべきは内在性レトロウイルスの存在である。

かつてはブタ臓器を用いた異種間移植が有望視されていた。ところが、ブタのDNA内に多数のレトロウイルス遺伝子が存在することが分かった。これらはブタがある種のウイルスに感染することを防いでいると考えられている。

しかし、ブタにとって有用なこれら内在性レトロウイルス群は、人間にとって完全な異物となる。もしブタの臓器をそのままヒトに移植してしまうと、臓器が生着した後、臓器受取人(レシピエント)がブタのウイルス感染症に悩まされる危険性が生じるのである。

In Deep 記事内の引用より