[台湾有事で日本人の半数以上が餓死するという分析も]という読売新聞の報道

 

自給率の向上には長い時間がかかります。若い人たちの意識も変えなければいけません。もう遅いです。


日本の食料自給率は先進国で極端に低い水準…台湾有事で「日本人半数以上が餓死」分析も

読売新聞 2023/07/27

日本の食料自給率は、先進国では極端に低い水準だ。米国、カナダ、フランスなどは100%を超えている。日本が自給率を下げる一方、欧米では自給率を高めてきた国が多い。近い将来の発生が懸念される「台湾有事」などで日本は食料危機に陥る恐れがあり、自給率の向上は待ったなしだ。

農林水産省によると、2019年の食料自給率はカナダ233%、豪州169%、フランス131%、米国121%で、ドイツも84%、英国70%だ。全ての国が以前から高かったわけではなく、1965年のドイツは66%、英国は45%と日本(73%)よりも低かった。

さらに日本は、野菜などを育てる化学肥料や種の多くを海外に依存しており、一部の専門家たちからは「日本の真の食料自給率は10%程度しかない」との指摘も出ている。

欧米では農業保護が手厚い。例えば、農業大国のフランスでは生産者保護のため、生産コストに基づき農産物の適正な価格形成を促す「エガリム法」を2018年に公布。生産者と最初の購入者である加工業者との間で、燃料や飼料などの生産資材の価格が高騰した場合、売値に転嫁し、原価を割らないようにしている。

日本の食料危機は、紛争や食料輸出国の厳格な輸出規制、新たな感染症に伴う物流の大混乱などで起きる可能性があると指摘されている。

中でも専門家が懸念するのは「台湾有事」だ。米中が戦争に突入した場合、日本のシーレーン(海上交通路)が破壊され、食料輸入が途絶しかねないというシナリオが想定されている。

農水省出身でキヤノングローバル戦略研究所の山下一仁研究主幹は「台湾有事で海外から食料が全く入ってこなくなった場合、単純計算で日本人(約1億2500万人)の半数以上が餓死しかねない」と分析する。

山下氏によると、コメで今の日本国民を養うのには年間1600万トンが必要だが、22年産の主食用米の生産は半分以下の670万トンしかないためだ。山下氏は「コメは生産抑制するのではなく、おおいに作り余りは輸出するべきだ。有事の際には輸出を止めて国内で食べる。これは保管費がいらない『無償の備蓄』だ」と主張する。

食料安保を巡っては、国産の飼料、肥料の増産や新規就農者への支援、最新技術を使って省人化を図る「スマート農業」、「稼げる農業」の実現など農業現場の課題のほか、漁業の振興、地産地消の推進、フードロスの削減なども重要な論点になる。(食料安保取材班)