介護事業の倒産が過去最多に

 

(※) グラフを見ると、有料老人ホームとかも結構倒産していて、それで要介護の老人は増え続けているという。どうなっちゃうのですかね。


「介護事業者」の倒産が過去最多  価格転嫁が難しく、大規模な連鎖倒産も発生

東京商工リサーチ 2022/10/07

「老人福祉・介護事業」の倒産が、急増している。2022年1-9月は100件(前年同期51件)と急増し、過去最多を記録した。

2021年はコロナ関連の資金繰り支援効果で倒産が抑制されたが、2022年は効果が薄れ、光熱費や燃料費、人手不足の顕在化で経営環境が悪化した。さらに、デイサービス運営のグループ17社の連鎖倒産や、長引くコロナ禍でコロナ関連倒産が43件発生し、倒産件数を押し上げた。

2022年1-9月(負債1,000万円以上)の「老人福祉・介護事業」倒産は100件(前年同期51件)で、前年同期の2倍に急増した。2000年以降、1-9月累計が100件に達したのは初めて。現在の状況が続くと、2022年の倒産は2020年の118件を抜き、年間最多の更新が現実味を帯びている。

業種別では、連鎖倒産が発生したデイサービスを含む「通所・短期入所介護事業」が45件(前年同期13件)と急増した。

連鎖倒産を除いても大幅に増えており、大手事業者との競争や物価高などの運営コスト増大が影響した。次いで、「訪問介護」が36件(同30件)と増加。ヘルパー不足や感染拡大期の利用控えなどが響いた。

また、「有料老人ホーム」も10件(同2件)と急増。投資と収益のバランスが崩れ、コロナ禍の業績回復の遅れが響いている。

「老人福祉・介護事業」倒産は、新型コロナ感染拡大で2020年に最多を記録した。続く2021年は介護報酬のプラス改定やゼロ・ゼロ融資、介護事業者向け支援などが広がり、倒産は急減した。だが、時間の経過とともに支援効果も薄れ、2022年は過去最悪ペースに逆戻りした。

「老人福祉・介護事業」は、食材や光熱費、介護用品などが値上がりする一方、価格転嫁が難しく、さらに、コロナ禍で利用客の回復も鈍い事業者が多い。

こうした状況から、長引く経営不振の小規模事業者を中心に、抑えられていた倒産がこれから本格化する可能性が高まっている

2022年1-9月の「老人福祉・介護事業」倒産は、100件(前年同期比96.0%増)で、介護保険法が施行された2000年以降で最多を記録した。負債総額は191億9,100万円(同336.9%増)と前年同期から4倍超に急増した

倒産急増の背景は、大規模な連鎖倒産の発生が大きい。機能訓練型デイサービスを運営していた(株)ステップぱーとなー(台東区)は、グループ含め17社が破産した。

同社グループは、M&Aや福祉貸付資金の利用に加え、投資家からの資金調達などで業容拡大を進めていた。しかし、コロナ禍で施設利用者数が減少し、介護報酬の落ち込みから事業継続が困難となった。