「心不全患者への塩分制限は、むしろ状態を悪くする」という論文





心不全における塩分制限と塩分制限なしの比較

wiley.com 2023/06/26

Salt versus no salt restriction in heart failure a review

概要

背景

数十年にわたり、標準的な指導では、心不全患者には塩分摂取量(ナトリウム)を減らすよう推奨されてきた。神経体液の活性化とそれに続く体液貯留が、この長年の推奨の確固たる根拠となっている。

最近まで、ナトリウム制限に関する大規模なランダム化臨床試験は実施されていなかったが、一部の観察研究やメタアナリシスでは、心不全患者に厳格なナトリウム制限を行うと結果が悪くなると示唆されていた。

方法

このレビューでは、厳格なナトリウム制限が心不全患者に有益であるかどうかを文献から明らかにすることを目的にした。2000年から 2023年までの PubMed 索引記事で、心不全、塩分、ナトリウム、水分摂取という用語を検索した。

結果

ランダム化試験のほとんどは小規模で、介入の多様性が広く示された。1件の大規模なランダム化臨床試験は、無益性のため早期に中止された。

全体的に、厳格なナトリウム制限が心不全患者の死亡率と入院率を低下させるという証拠はない。しかし、ナトリウム制限により、生活の質と機能クラスがわずかに改善する可能性はある。

結論

心不全患者の場合、ナトリウム制限によって罹患率や死亡率は低下しない。ただ、症状の多少の改善は期待できる可能性はある。