[彼は20時間眠り続ける 100万人に1人の病『クライネ・レビン症候群』と向き合う中学生]という報道

 

記事の中の、

> 県内の中学校に通う少年が、ことし1月に突然この病気を発症しました。

というところからの参考論文。

(論文)Pandemrix ワクチン接種後に発症したクライネレビン症候群
Kleine Levin syndrome presenting after HINI vaccine

> 予防接種を受けていない子供/青年と比較して、 Pandemrixを接種したアイルランドの子供/青年で、ナルコレプシーのリスクが 13倍高いことがわかった。

Pandemrixとは、以下のようなものです。

> パンデミックスは、 2009 年のインフルエンザ・パンデミックなどに対するインフルエンザワクチンです。このワクチンは、グラクソ・スミスクライン(GSK)によって開発され、2006 年 9 月に特許を取得しました。 Pandemrix


彼は20時間眠り続ける 100万人に1人の病『クライネ・レビン症候群』と向き合う中学生

RBC 2023/04/01

1日20時間眠り続けるクライネ・レビン症候群という病気をご存じでしょうか。

県内の中学校に通う少年が、ことし1月に突然この病気を発症しました。1日4時間という、短い活動時間の中で日々を過ごす少年の姿から、地域や社会にどのような支援が出来るかを考えます。

ひろと君(仮名)の父「バンバン(※肩を叩く)起きてみて。おはよう。おーい!おはよう、起きて!おはよう、起きれない?」

大きな声で呼びかけても、体をゆすったり叩いても目覚めない少年。

ひろと君(仮名)の父「きのうの午後9時に寝て、多分きょう起きるのは午後1時から2時くらいの間。症状としては1日20時間眠り続けて、何をしても起きないような状況です」

1日で起きていられる時間は4時間から8時間。寝ている間は何をされても起きることが出来ない、クライネ・レビン症候群と呼ばれる過眠症。

ひろと君に初めて症状が現れたのは、ことしの1月。この日は学校に行き、家で夕飯を食べた後に眠りにつくといった、異変のない日常のサイクルの中で突然発症したといいます。

Q最初に自分で変化に気が付いたのは?
ひろと君(仮名)「夜の9時に寝て次の日の午後3時くらいに起きて。起きたらめちゃくちゃ時間経ってたから『うぉ』って思った」

ひろと君(仮名)の父「最初は本当にわけがわからないという混乱ですね。5分おきに息してるかなって確認してるような状況が、2週間くらい続きました」

クライネ・レビン症候群は、100万人に1人から2人の割合で発病し、10代で発症するケースが多いとされています。

何も症状が出ない期間と、強い眠気をもよおし長時間眠ってしまう「過眠期」を年に数回繰り返すとされていて、症状が自然に収まるまで平均で14年かかります

過眠期の長さは数日から数週間と個人差があり、ひろと君はこの時点で、最初の過眠期に入ってから7週間が経過していました。

Q寝ないように抗ったことはある?
ひろと君(仮名)「ある。筋トレしたり、目が覚めるから」

Q結果はどうだった?
ひろと君(仮名)「3分くらい持ったけど、『ねむっ』てなって結局寝た」

■クライネ・レビン症候群の原因や治療法は

強い眠気に自力で抗うことは出来ないと話すひろと君。ひろと君の主治医で、睡眠医学を専門とする琉球大学病院の普天間医師によると、クライネ・レビン症候群が発病する原因などは明らかになっておらず、治療法が確立されていないといいます。

琉球大学病院 普天間国博医師「原因はわかっていないんですけど、過眠の時期というのは、どうやら冬眠に近いメカニズムが働いているようです。発症して十数年経つと徐々に症状が軽くなっていって、最終的にはほぼ症状が出なくなって自然に寛解(完治手前の状態)することがわかっています」

起きて活動できる時間が短い患者に対して、普天間医師は社会的な支援や病気に対する理解が必要だと話します。

普天間医師「さぼって職場や学校に行かないわけではなくて、強い過眠症状でどうしても起きられなくて学校に行けないという、病気が原因というちゃんとした理由がありますから、この辺は社会的にも考慮されるべきかなと思います」

夢を見ているように現実感が失われ、食欲などが減り、抑うつ的となる場合もあるというクライネ・レビン症候群。ひろと君もまた、強い眠気を引きずったまま食事やトイレに起きて、無意識に行動することがあるといいます。寝ぼけた状態で火を使った調理をする危険もあり、常に家族の見守りが必要です。

■「過眠期」で学校行けず、ひろと君が直面する学力の問題

また過眠期には、学校の授業にはほとんど出られないため、担任の先生が個別に宿題を作るなどの対応をとっていますが…。

ひろと君(仮名)「先生が問題集みたいなのを作ってくれて、今は数学と国語しかもらっていないけど、社会とかはもうわからなくなってきた」

ひろと君(仮名)の父「もう今は2か月学校行ってなくて、しかもそれを1年間で数回繰り返したら絶対ついていけないので、どんな学力がある子でも。そこを必死になって行政と何とか目指すところは高校卒業レベルの学力まで将来的にはいけるように、何とか助けてくださいと必死にお願いしている状況です」

お父さんはひろと君の将来を見据えて、勉強や過眠期の見守りなど、あらゆる支援の方法を行政と模索しています。

■「やっぱり友達っていいな」ひろと君への支援の在り方は

こうした生活の中でも、ひろと君には楽しみにしていることがあります。

Qこの前学校に行ったんだよね?
ひろと君(仮名)「うん。お昼ご飯を食べ終わって、学校行けるなと思ったから行った」

Q友達はどんな反応だった?
ひろと君(仮名)「めちゃくちゃ騒いでた。『きょうはどのくらい寝たの?』とか、『なんで休んでた?』とか、やっぱり友達っていいなと思った」

「起きていられる時間が短いからこそ、友達や家族と過ごす時間の大切さを感じることが出来る」と話すひろと君が未来に希望を持てるように…。彼の人生を支えるための周囲の支援のあり方が求められています。