米国のパイロット「約5000人」が自分の重篤な疾患を隠して飛行を続けている現実が判明。連邦航空局が捜査中

 

(参考記事)2023年8月だけでパイロットの「操縦中の心停止」が4件発生。そして、この半年で報じられた操縦中の人事不省事例の数々
地球の記録 2023年8月22日


パイロット5,000人が重大な健康上の問題を隠していた疑いがある。ほとんどがいまだに飛行を続けている

Washington Post 2022/08/28

5,000 pilots suspected of hiding major health issues. Most are still flying

文書や聞き取りによると、連邦当局は、精神的健康障害や飛行に適さない可能性のあるその他の重篤な疾患に対して給付金を受けていることを隠すため、医療記録を改ざんした疑いのあるパイロット約 5,000人を捜査している。

精査されているパイロットたちは退役軍人で、連邦航空局に対し、自分たちは飛べるほど健康であると語ったものの、法律で義務付けられているように、コックピットに座ることができなくなる可能性がある障害に対する退役軍人給付金も徴収していることを報告していなかった。

退役軍人省の捜査官は連邦データベースを照合することで 2年以上前にこの矛盾を発見したが、FAA(連邦航空局)は事件の詳細の多くを米国民に秘密にしていた。

FAA報道官のマシュー・レーナー氏は声明の中で、 FAAが「医療申請の一環として不正確または虚偽の情報を提出した可能性がある」約 4,800人のパイロットを調査していることを認めた。

同氏によれば、FAA は現在、これらの事件の調査の約半数を終結させており、 レーナー氏は「航空の安全に明らかな危険をもたらしている」と述べた約 60人のパイロットに対し、記録を精査する間、緊急に飛行を中止するよう命じたという。

現在進行中の事件について匿名を条件に語った、この件に詳しい米国高官によると、捜査対象となっているパイロットのうち約 600人は旅客航空会社の操縦資格を持っているという。残りのほとんどは、貨物会社、法人顧客、旅行会社などからのレンタルで飛行できる商業ライセンスを保有している。

専門家たちは、今回の調査により、 パイロットを検査する FAAの医療システムの長年の脆弱性が明らかになり、報告されていない膨大な数の健康問題が航空の安全にリスクをもたらしていると述べた。

パイロットは政府が契約している定期健康診断に合格する必要があるが、検査は大まかなものが多く、FAAはうつ病や心的外傷後ストレスなど、他の方法では発見するのが難しい症状を飛行士に自己申告させることに依存していると、検査を実施する医師たちは述べている。