「蛾はミツバチよりも効率的な夜間の花粉媒介者である」ことを突きとめた英国の研究

 

(論文) 素晴らしい蛾!ブランブルの花粉付着率は、昼よりも夜の方が大きい


蛾はミツバチよりも効率的な花粉媒介者であることが新しい研究で示されている

phys.org 2023/03/31

Moths are more efficient pollinators than bees, shows new research

蛾は、ミツバチなどの昼に飛ぶ花粉媒介者よりも、夜間の効率的な花粉媒介者であることが、サセックス大学からの新しい研究で発見され、PLOS ONE で 3月29日に発表された。

ミツバチや蝶などの野生の受粉昆虫の減少が懸念される中、サセックス大学の研究者たちは、蛾が自然界にとって特に重要な花粉媒介者であることを発見した。

2021年7月を通してイングランド南東部の 10か所を調査したサセックス大学の研究者たちは、キイチゴの花を訪れる昆虫の 83%が日中に行われたことを発見した。夏の夜が短くなると蛾の訪問は少なくなり、訪問の 15%しか増えなかったが、より迅速に花に受粉することができた。

その結果、研究者たちは、伝統的に「働き者」と考えられてきたミツバチなどの日中飛ぶ昆虫よりも、蛾がより効率的な受粉者であると結論付けた。日中飛んでいる昆虫は花粉を運ぶためにより多くの時間を利用できるが、蛾は短い暗闇の中で重要な貢献をしていた。

サセックス大学の環境生物学教授であり、この最新の研究の共著者であるフィオナ・マシューズ教授は、次のように述べている。

「英国では多くの蛾が深刻な減少に直面しており、受粉だけでなく、コウモリから鳥に至る他の多くの種の食料供給にも影響を与えています。 私たちの研究は、キイチゴの低木に花を咲かせるなどの簡単な手順が、蛾に重要な食料源を提供できることを示しています」

さらに、この研究は、好ましくないと広く見なされ、日常的に伐採されている低木であるブランブル (※ ブラックベリーやラズベリーなどのとげがあり実がなる低木の総称)の重要性を示しているが、実際に夜行性花粉媒介者にとって、ブランブルは重要だ。

サセックス大学のマックス・アンダーソン博士は以下のように述べる。

「蛾も重要な花粉媒介者であることがわかったので、公園、庭、道路の縁、生け垣でキイチゴやその他の開花低木植物の成長を促進することで、蛾をサポートするための行動を起こす必要があります」

この研究は、自然の生態系が繁栄するためには、夜行性と昼行性の花粉媒介者の両方を保護する必要があることを示している。その結果、研究者たちは、白い花を植えたり、低木や荒れた草を植えたり、常夜灯を消したりして、 蛾を保護するために少しでも努力するよう英国民に呼びかけている。