全国的に輸血用血液の不足が再び深刻に

 


献血不足、再び深刻「この状況で大災害起きたら…」協力訴え

岐阜新聞 Web 2022/02/09

新型コロナウイルスのオミクロン株が猛威を振るう中、全国的に輸血用血液の不足が再び深刻になっている。「第6波」が襲来した今年1月には、岐阜県内など7県を含む東海北陸ブロックで約千人分の血液不足が生じた。県赤十字血液センター(岐阜市)は、外出控えや献血バスの受け入れ中止で献血協力者の確保に苦慮しており、積極的な協力を呼び掛けている。

同センターによると、県内では緊急事態宣言下だった昨年8月から第6波に突入した1月までに、全血献血(400ミリリットル)で1102人分の血液が不足した。特にコロナの感染状況が落ち着いた9月以降、各医療機関ではこれまで控えていた輸血を必要とする手術が急増し、毎月予定した計画数を上回る血液が必要な状況に陥っている。同センター献血推進課の竹内教浩さんは「医療のリバウンドが発生したことで、医療機関への血液の供給量に献血が追い付かない状況が起きている」と頭を抱える。

同センターは昨年、新たに県建設業協会の協力で570人分の血液を確保するなど、献血バスの受け入れ企業・団体の開拓に取り組んできた。しかし、感染力の強いオミクロン株の流行で、1月以降は9会場で団体献血が中止に。「今は市役所などの官公庁に頼っている状況」という。

日本赤十字社は、全国を7つのブロックに分け、ブロック単位で不足が生じれば他のブロックから補う形で血液の安定供給を維持している。万が一不足が生じた場合に備えたストックもあるが、血液製剤の使用期限は採血からわずか21日間と短い。「もしこの状況で大災害が発生したら血液不足に陥りかねない」と危機感を募らせる。

県内では、第6波に入ってから新規感染者数が千人を超える日もあるなど高止まりが続いており、献血に訪れた人からは「今の状況では献血に人が来なくなるのも仕方がない」という声も。同センターは「献血ルームやバス内は感染症対策を万全にしている。なんとか献血に足を運んでもらいたい」と訴える。