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ウクライナの港に停泊したままの商業船に残されている「100万トン以上の穀物が腐敗する」可能性

 


ウクライナの穀物は封鎖された港の船の中で腐敗する危険性がある

world-grain.com 2022/04/19

Grain runs risk of spoiling in blocked ships

ウクライナの港で封鎖された商業船に取り残された100万トン以上の穀物と油糧種子が、近い将来劣化する可能性があるとウクライナの農務大臣が 4月15日にウクライナの新聞に語った。

ロシアのウクライナ侵攻が2月24日に始まって以来、ウクライナの港からの貨物はロシアによって阻止され、穀物輸出業者にとって実行可能な選択肢として東ヨーロッパへの鉄道ルートのみが残されている。ウクライナは通常、月に最大600万トンの穀物と油糧種子を輸出しているが、3月には約20万トンしか出荷していない。

「貨物は荷降ろしされておらず、まだ船上にあります」と農務大臣は語った。

「現在、穀物と油糧種子が 125万トン積まれている船舶がウクライナの港に57隻あります。それらの保持期間については、もともと、これらの穀物を長期間保管することを計画していなかったため、問題が出るかもしれません」

ウクライナはヒマワリ種子油の世界トップの輸出国であり、小麦とトウモロコシのトップ5の輸出国の1つだ。

トウモロコシ先物価格が「過去50年の最高値」に迫る

 


Corn

tradingeconomics.com 2022/04/19

トウモロコシ

シカゴ商品取引所のトウモロコシ先物価格はブッシェルあたり8ドルに上昇した。これはトウモロコシ生産の縮小の懸念とサプライチェーンの問題に対する需要の高まりが見込まれることからで、2012年7月以来の最高値となる。

原油価格の高騰と、今年の夏にエタノールの使用量が増えるというバイデン政権からのニュースは、新規購入を後押しした。

同時に、ブラジルの乾ばつ状態、米国の予想よりも狭い作付面積、およびロックダウン中の中国のトウモロコシ作付けの遅れは、重大な生産損失を引き起こす可能性を示している。

これらは、2つの主要な世界的なトウモロコシ輸出国であるロシアとウクライナからの供給混乱に対する既存の懸念に追加された新たな問題となりつつある。

ロシアがウクライナに侵攻したため、ウクライナは港での商業輸送を停止し、ロシアはモスクワに対する西側の貿易制裁を受けて穀物貿易を停止している。

[飼料高騰「もう限界」 福島県内の畜産関係者「数年前の1.5倍」]という報道

 

(※) トウモロコシは肥料を大変使い作物のようで、そのため、北米でも南米でも、「トウモロコシの栽培をやめて、肥料があまり必要ない大豆に変える」農家が増えていると報じられていまして、トウモロコシは今後さらに高騰すると思います。もちろん、ロシアの非友好国の日本へは、ロシアからのトウモロコシの輸入も完全に止まると見られます。


飼料高騰「もう限界」 福島県内の畜産関係者「数年前の1.5倍」

福島民友新聞 2022/04/18

畜産農家や業者が飼料の高騰に苦しんでいる。中国での需要増加や新型コロナウイルス感染拡大と原油高騰などによる輸送コスト増、さらにはロシアのウクライナ侵攻の影響から原材料のトウモロコシなどの価格が値上がりしている。価格の高止まりも予想され、県内の畜産関係者からは「もう限界」と嘆きの声が上がる。

「(飼料価格は)数年前の1.5倍ほどになっている。ダブルパンチだ」。田村市船引町の和牛繁殖農家鈴木新一さん(53)は顔をしかめる。原油高騰で牛舎の運営コストが増えたところに、飼料高騰が追い打ちをかける。

48歳で脱サラし、家業を継いだ。当時は牛の価格が全国的に好調だったこともあり、飼育頭数を10頭ほど増やした。今では約40頭を飼育する市内有数の大規模畜産農家となった。餌には、ロシアやウクライナ産トウモロコシなどを配合した飼料を使う。

経営規模が大きければ大きいほど牛舎の運営費用はかさむ。「地域の畜産農家は高齢化が進み、5~10年後に何人残っているかは見通せない。せめて現状維持していくためにも、状況が良くなってほしい」と鈴木さん。新型コロナ感染症の影響で外食産業が落ち込み、牛自体の価格も低調気味と経営環境は苦しい。それでも鈴木さんは「良い品質の牛を育てれば、高い価格を付けてもらえる。それを励みに頑張りたい」と話す。

農林水産省によると、配合飼料価格は2020(令和2)年4月に1トン当たり6万円台後半だったものが、昨年12月には8万円を超えるまでに上昇した。

「ここ2年間で飼料の価格が3割以上高くなっている。最悪な状況が続いている」と話すのは、県養豚協会長を務める泉崎村の養豚業木野内ファーム社長、木野内理さん(47)だ。

木野内さんによると、飼料価格の値上がりが始まったのは20年秋ごろ。小規模な養豚業者が多かった中国で、配合飼料を使う企業養豚が急成長した結果、原料となるトウモロコシなどの需要と供給のバランスが崩れ始めたという。また日本の飼料は輸入に依存し、原油価格高騰や円安の影響を受けやすい。新型コロナやウクライナ情勢など不安定な社会情勢も価格高騰の要因となっている。

木野内さんの元には「個人ではもう限界」「運転資金を借り入れするしかない」といった会員の声も届いている。「これまで、気候変動により価格が高騰することはあったが、今回は要因が違う。

米国が来季のトウモロコシの作付けを減らすという話もあり、より高騰することが考えられる」。協会は生産者の実質負担を軽減する行政の支援や、飼料価格が高止まりすると十分な支援が受けられなくなる国の配合飼料価格安定制度の見直しなどを求める要望活動なども始めている。

[大豆輸入が一層不安定に 戦火で高騰拍車、続く物流混乱]という日本農業新聞の報道

 


大豆輸入が一層不安定に 戦火で高騰拍車、続く物流混乱 国産引き合い期待

日本農業新聞 2022/04/18

輸入大豆が調達しにくい状況が一段と進んでいる。

国際相場は高騰し、新型コロナウイルス禍による海上輸送の混乱が続く。高騰の背景には中国の需要増に加え、ウクライナ情勢の悪化もある。国内は食用大豆の8割を輸入品が占める中、円安も進み輸入と国産の価格差が縮まる。今後、国産の引き合いが強まるとの見方が出ている。

世界の穀物価格の指標となる米シカゴ商品取引所(CBOT)の大豆相場は、コロナ感染拡大前の2019年までは1ブッシェル(約27キロ)当たり8~10ドル台で推移。だが、20年末から、中国の旺盛な需要などで16ドル台まで上昇した。ロシアによるウクライナ侵攻や南米産大豆の供給不安なども加わった。今年3月には17ドルを突破し、12年に記録した過去最高値に迫った。現在はやや落ち着いてきたが、依然、16ドル台と高値圏にある。

国際相場高騰に加え、コロナ禍のコンテナ不足による海上輸送の混乱も見られる。貿易統計によると、主に海上コンテナで輸入される食用大豆の今年2月の輸入量は、コロナ禍前の19年同月比28%減の3万7666トン。専門家は「輸送の混乱で計画的な調達ができていない」と指摘する。

加工業者に焦り

輸入品の延滞は大豆商品の流通にも影響を及ぼす可能性がある。卸関係者は「年末年始に届くはずの大豆が来ない。在庫も通常の半分程度という業者もいる」と話す。関東の豆腐店は「関西などから大豆をかき集めている。豆腐の需要が高まる夏までに解消できなければパニックになる」と警戒する。

国際物流に詳しい拓殖大学の松田琢磨教授は「コロナ禍による海上輸送の混乱は解消されず、世界中の港が混雑している。船が工面できず荷物がたまっており、改善は23年以降になる」と予想する。

加えて、ロシアによるウクライナ侵攻を受けて穀物全般の国際相場は高騰。日本が輸入する非遺伝子組み換えの世界的な需要に伴う調達競争も激化する。健康志向で需要が高まり、生産者に支払う奨励金(プレミアム)は上昇傾向だ。国内の業界関係者は「節約志向やスーパーの激しい販売競争下で豆腐製品への価格転嫁が進まない中、今後、輸入原料調達は苦戦が強いられる」と危機感を募らせる。

縮まる価格差

一方、国産の普通大豆は21年産の収穫後入札の平均落札価格が前年比で1割以上安く、60キロ当たり1万円台で推移。国産は輸入品の1・8倍とされてきたが、その価格差は縮まっている。業界関係者は「輸入量は補えないが国産への切り替えを検討するメーカーは増える」とみる。

[首相「食料自給率向上を」 世界の価格高騰踏まえ]という報道

 

(※) 今さらいい加減にしろ。どこの若者がこの状況で農業目指すよ。肥料価格とエネルギー価格見れば、もう既存の農家さんもみんなやめるレベルだぞ。ITとかマスコミとか医学部とかに若者が殺到して、みんな餓死という結末。


首相「食料自給率向上を」 世界の価格高騰踏まえ

共同 2022/04/17

岸田文雄首相は17日、石川県輪島市での車座集会で、ロシアによるウクライナ侵攻を受けた世界の食料価格高騰を踏まえ「日本の農業に関して言えば、食料自給率を上げないといけない」と強調した。同時に「農業の国際競争力強化にも取り組みたい」と語った。

対ロシア追加制裁の一環である一部の木材の輸入禁止に関連し「住宅業界が大騒ぎしており、改めて林業の大切が見直されている。農林水産業など命を支える産業が大切だ」と述べた。

ウクライナは有数の穀物生産国で知られる。

サツマイモが腐る「サツマイモ基腐病」が21都道県に拡大。「このままでは産地が消滅してしまう」

 

(※) 私は飲むお酒がほとんど芋焼酎ですので…。ちょっと心配です。


サツマイモ腐る病気が全国拡大…農家「このままでは産地が消滅してしまう」

読売新聞 2021/11/04

3年前に国内で初めて確認された芋が腐る病気「サツマイモ基腐病(もとぐされびょう)」が21都道県に広がっている。この影響でサツマイモの収穫量が減少し、卸売価格が上昇。収穫期を迎える中、農家や芋焼酎メーカー、焼き芋店などが被害の拡大に不安を抱えている。

「このままでは産地が消滅してしまう」。鹿児島県南九州市のサツマイモ農家、 尾曲おまがり宰つかさ さん(69)はこう危機感をあらわにする。

2018年に基腐病に感染したサツマイモが見つかり、昨年と今年は収穫した30トン余りのうち3割を廃棄せざるを得なかった。

鹿児島県は国内最大の生産地だが、県によると、1株でも感染が確認された農場は9月時点で約6600ヘクタールと全体(約1万ヘクタール)の7割に迫る。尾曲さんは「これまでもサツマイモの病気はあったが、基腐病は感染力が強く、抑え込みが難しい。採算がとれないので栽培をやめようと考えている農家もいる」と打ち明ける。

今年は13都道県に

腐病は18年に沖縄、鹿児島県、19年に宮崎県で見つかり、20年には高知や静岡など5県、今年は北海道や東京など13都道県で初確認された。

全国2位の生産量を誇る茨城県内でも今年6月に初めて見つかった。同県鉾田市や 行方なめがた 市でサツマイモを栽培する農家、米川睦美さん(51)は「うちの畑ではまだ見つかっていないが、いつ発生するか不安だ。未知の病気で情報が足りないので、国や自治体は、こまめに情報を発信してもらいたい」と注文を付ける。

農林水産省の調査では、20年産サツマイモの10アールあたりの収量は、基腐病や日照不足の影響で前年より5%減少した。主産地の鹿児島県では15%減と大きく落ち込んだ。全国の収穫量は前年比約6万トン減の約69万トンで、過去最少を更新した。

取引価格にも徐々に影響が出始めている。東京都中央卸売市場によると、今年1~9月の平均価格は1キロ・グラム当たり292円で、前年同期から25円上昇した。

戦々恐々

芋焼酎の原料として1日約400トンのサツマイモを使用する焼酎メーカー「霧島酒造」(宮崎県都城市)では9月下旬から鹿児島産が入手しづらくなったため、宮崎産を増やしてしのいでいる。担当者は「焼酎は3か月~1年程度の貯蔵期間を経て出荷するため、すぐに在庫や店頭価格に影響は出ないが、今後の不安はある。一刻も早く収束してほしい」と話す。