脂質ナノ粒子を用いれば、「確実に心筋細胞にプラスミドDNAを送達できる」ことが示された研究

 

これだと、当局の「DNA 汚染の規制限界」って、あまり関係ないことになりそうです。汚染がどれだけ少量でも、脂質ナノ粒子が使われている限り、「確実」に細胞やその核に侵入するようです。


心筋細胞におけるイオン化脂質ナノ粒子を介したプラスミド DNA の送達

ncbi.nlm.nih.gov 2022/06/30

Ionizable Lipid Nanoparticle-Mediated Delivery of Plasmid DNA in Cardiomyocytes

概要

導入
遺伝子治療は、心筋梗塞後の心臓再生や遺伝性心筋症の遺伝子修正に応用できる有望なアプローチとなる。ただし、心筋細胞は、トランスフェクションが難しいと考えられている重要な細胞タイプでもある。脂質ナノ粒子(LNP)などの非ウイルスベクターへの核酸の捕捉は、安全かつ効果的な送達のための魅力的なアプローチだ。

メソッド
ここでは、心筋細胞へのプラスミドDNA 送達のために、操作された LNP のミニライブラリーが開発された。 LNP は、心筋細胞におけるプラスミドDNA 送達に関して特徴付け、およびスクリーニングされ、トランスフェクション効率が向上したリード LNP 製剤が同定された。

結果
脂質のモル比を変えることにより、LNP 製剤は、in vitro (※ 試験管内で)および in vivo (※ 生体内)で遺伝子発現が増強され、毒性が無視できる程度に心筋細胞にプラスミドDNA を送達するように最適化された。

in vitro では、我々のリード LNP は 80%を超える遺伝子発現に達することができた

リード LNP による in vivo 処理は、対照と比較して心臓組織における GFP (※ 緑色蛍光タンパク質)発現の 2倍の増加を誘導した。さらに、循環骨髄細胞および炎症性サイトカインのレベルは、LNP 治療後の心臓内で大きな変化なく維持された。また、LNP 治療後に心臓細胞の機能が影響を受けないことも実証された。

結論
まとめると、我々の結果は、心筋細胞へのプラスミドDNA の効率的な送達ベクターとしての LNP の可能性を強調している。この研究は、LNP が心血管疾患の治療における遺伝子治療を改善する可能性があることを示唆している。