日本の電子製品はほぼ全滅 – 華字メディア
Record China 2022/10/28
日本で発行されている華人向けの新聞、中文導報に25日、「日本の電子製品はほぼ全滅」とする記事が掲載された。
記事はまず、「20年前、ソニー、松下、シャープなどの日本企業は、世界的に有名な高級消費者向け電子製品ブランドで、テレビから電子レンジ、デジタル音楽プレーヤーまで家電製品のほぼすべてを製造しており、世界には匹敵できる企業が一つもなかった。製品は高価だが消費者の目には品質の象徴であり、売り切れることもよくあった。
それから十数年後、これら日本の消費者向け電子製品大手は『祭壇から落っこち』、身売りや合併、組織再編など、歯を食いしばって我慢していることの多くは、ただ黒字転換するためだ」と論じた。
その上で、各メーカーの状況について次のように伝えている。
東芝
ノートPC、テレビ、その他家電製品のパイオニアだが、今では生き残るために銀行に依存して苦しみもがく日本企業の列に加わっている。
1世紀以上にわたって事業を展開し、かつてはノートPCからメモリチップに至るまで、トレンドをリードするイノベーションで知られていた。日本発のレーダーを開発し、電子レンジやノートPCなど多くの「国産第1号」は「国産品の光」とも称された。
しかし、製品イノベーションの道で中国や韓国の企業に敗れてしまった。その後、他の事業に目を向け、米国企業のウェスチングハウス・エレクトリックを買収して原子力産業に資金を投入した。
2015年には大規模な会計スキャンダルにより苦境に陥り、株価は数カ月で半分以上も下がった。
加えて、原子力への賭けも失敗し、米国の原子力部門は大幅な遅延とコスト超過で63億ドルの損失を計上して破産法適用の申請を余儀なくされ、東芝は、生計を維持するためにフラッシュメモリチップ事業や他の資産を売却した。
シャープ
1980年代にはハイエンドのコンピューターやビデオデッキ、ポータブルカセットプレーヤーで知られていた。世界初の液晶ディスプレーを用いた電卓を発売した。液晶テレビ「AQUOS」は2006年5月31日に世界累計生産台数1000万台を達成した。
その後は円高と世界的な金融危機により需要が崩壊したため、何年にもわたって倒産の瀬戸際を徘徊したが、銀行からの2回の支援によって持ちこたえた。2015年には巨額の赤字と世界で約5000人の人員削減を発表した。
16年2月4日に台湾の鴻海(ホンハイ)グループによる55億ドル規模の買収計画を受け入れ、同年6月23日に鴻海精密工業の出資を受け入れ、鴻海傘下に入った。17年3月15日には液晶テレビの国内生産から撤退する方針を明らかにし、AQUOSブランドを鴻海精密に渡した。
オリンパス
精密・光学技術を代表する世界のトップ企業の一つ。顕微鏡メーカーから、カメラメーカーおよび医療機器サプライヤーへと発展し、事業分野は医療、ライフサイエンス、画像処理、産業機械にまで及ぶ。
2011年、13年にわたる総額約17億ドルの不正な粉飾会計が発覚。18年には中国の深センに設立した企業が赤字続きで人員を削減。19年にはデジタルカメラを製造していた中国の子会社を譲渡。20年に韓国でカメラ事業から撤退した。21年1月1日にはカメラ、レコーダー、望遠鏡を含む映像事業を日本産業パートナーズ(JIP)に譲渡した。
今年8月29日には同社の科学事業を手掛ける子会社を米投資ファンドのベインキャピタルに約4276億円で売却すると発表した。経営資源を医療機器分野に集中する。
三洋電機
60年以上にわたって大阪に本社を置き、モニター、携帯電話、デジタルカメラ、機械、バイオ医薬品などを製造してきた。
2004年の新潟県中越地震で半導体工場が被災したことにより05年3月期の赤字に続き、06年3月期も約2050億円の赤字を計上。05年には地球環境と一体の企業を目指す新たなビジョン「Think GAIA」を発表し、充電池や太陽光発電、エアコン、ハイブリッド車用バッテリー、カメラ「Xacti」、プロジェクター、携帯電話などの電子機器に多額の投資を行った。
06年11月24日に大幅な赤字と人員削減を発表。09年にパナソニックに買収され子会社となった。
ソニー
消費者向けおよび業務用電子機器の世界的メーカーの一つであるだけでなく、世界最大のゲーム機メーカー、ゲームソフトパブリッシャーでもある。
2013年には米国本社ビルを11億ドルで売却し、同会計年度に12億6000万ドルの損失を出した。14年にはPC事業の売却を発表し、損失は21億ドルに拡大。15年には米国内のソニーストア31店舗のうち20店を閉鎖し、グループで1500人以上を削減した。
記事は「これらの企業が没落した主因は、トレンドの変化に気を配らず、海外の競合他社に敗れたことにある」と指摘。一方で「ブレークスルーと生存のチャンスを求めて努力しているブランドもある。ソニーはゲーム分野での影響力拡大に努めている。ただ成功するかどうかは誰にも分からず、険しい道であることは明らかだ」とした。