以前と変わっていない穏やかな制裁下のロシアの日常 (西側は大変になっていますけれど)

 


ロシアに住んで8年…日本食レストラン営む日本人に聞く現状「ロシアは経済危機を何度も経験…正直これくらいのは慣れている」

MBS BEWS 2022/04/12

ロシア・モスクワで日本食レストランや美容室など経営する日本人実業家・廣瀬功さんはロシアに住んで8年になります。現在の生活で何か困っていることはあるのか、モスクワ市民はどのように話しているのか、4月11日にリモートで話を聞きました。

パブもナイトクラブも全て通常通り

(モスクワに8年住む廣瀬功さん 4月11日取材)

 「(現在の街の雰囲気は?)雰囲気は今はかなり落ち着いているイメージですね。バラエティー番組もやっていますし、映画館もやっていますし、パブもナイトクラブもイベントも全て通常通り行われていますね」

4月10日に廣瀬さんが撮影した「赤の広場」の様子。多くの人でにぎわい、観光客らしき人の姿もあります。

 

【廣瀬功さんのYouTubeより】
「人が増えていますね。外国人らしき人たちも来ています」

近くのデパートも通常通りの営業です。しかし、よく見ると休業している店舗もあります。

【廣瀬功さんのYouTubeより】
「グッチですが、閉まっていますね。技術的な問題の為に閉まっていると書いていますね」

しかし市民は、いくつかの店舗の閉店などは気にすることなく、ショッピングを楽しんでいます。

 

ロシア国民は“経済危機”に慣れている?

4月6日に撮影された別のショッピングセンターでは、店内には肉や野菜、酒類などが並び、食料品が不足している様子はありません。

【廣瀬功さんのYouTubeより】
 「小麦ですね、こちらは83ルーブル(約125円)。塩そして砂糖ですね、まだ在庫が下にありますけれど、やたら砂糖が売れていると」

(モスクワに8年住む廣瀬功さん 4月11日取材)
(品不足は?)私自身、品不足というのを感じたことはないです。最近砂糖が棚から少なくなっているのを実際に見たことはありますけれども、砂糖が買えないとかいったことには直面はしていないです。

物価の上昇は?)最初の2週間の間に国内の製品でしたら10~20%、平均で15%ぐらい上がったという感触ですけれども、そこからは特に変わっていないですね」

(モスクワに8年住む廣瀬功さん 4月11日取材)
(そういったことが国民の不満につながることはない?)今までロシアは経済危機というのを何度も経験していまして。正直これくらいの経済危機というのは慣れていまして、今回も我慢すれば切り抜けられると」

 

撤退した丸亀製麺やマクドナルドを無断営業

外資系企業の撤退が相次ぐ中、無断で営業する事態にもなっています。廣瀬さんが訪れたのは『マル』という看板が掲げられたうどん店。今年3月まで「丸亀製麺」が営業していました。2013年にモスクワ1号店を開業した丸亀製麺。

ウクライナ侵攻を受けてロシアにある7店舗全てを閉店したはずでしたが、中では多くの客が食事をしています。

うどんを注文して天ぷらはセルフサービスで取るという以前と変わらないシステムで営業しています。丸亀製麺を展開するトリドールは、今年3月上旬にロシアの運営側とは全店舗の閉店で合意したとしていますが、丸亀製麺が提供していたサービスなどを、いわば無断で使用して営業を続けているのです。トリドールは閉店時に合意した内容と齟齬があるため、状況の是正を交渉中だということです。

【廣瀬功さんのYouTubeより】
「気付かなかったんですけれど、こちらのお皿、丸亀製麺とそのまま書いてありますね」

(利用客)
「味、値段、快適さが大事で、名前は重要ではありません」

このような無断営業は丸亀製麺だけではありません。

マクドナルドにそっくりな『UD』というロゴが入ったドリンクに、ポテトやハンバーガーのパッケージ。『UD』とは「アンダー・ドナルド」の略。ロゴだけではなく味も真似したものをつくったという店が登場しているのです。

さらに『Z』という店のHPでは、チキンバーガーにダブルチーズバーガーなど見たことのあるようなメニューがずらりと並んでいます。

“マクドナルドの代わり”として、実際にマクドナルドで働いていた従業員の募集が始まっています。

(モスクワに8年住む廣瀬功さん 4月11日取材)
「マクドナルドがなくても他にもいっぱいお店はありますし、バーガーキングなどは現地でまだ続けていますので、そういった代替があるというところで、問題にはなっていないです」

 

「なんで世界は我々をいじめるんだ」

続いてロシア国内でウクライナ問題がどのように報じられているのかについても聞きました。

(モスクワに8年住む廣瀬功さん 4月11日取材)
(現状をロシア国民はどのように認識?)人それぞれになってくるんですけれども、なんでこんなに世界は我々をいじめるんだというような考え方がマジョリティーなんじゃないかなと思います。

(自分たちは悪くない。国際社会がおかしいと?)ロシア語で情報を取得している限り、多くの情報は国営メディアの情報だったりするので。ロシアの目線では基本的に西側の言っている内容とは真逆の内容で伝わってきますね。

(ネット上で簡単にウクライナの悲惨な映像・画像が見られるが、ロシア国内でも見ることは可能?)全く日本と同じように見ることができますね。自ら違う情報を取得しにいこうとしなければ、情報を受け取る形になりますので、ロシア国内で推奨されるような情報というのがロシア国民の目に入ってくるんだと思います」

ウクライナ侵攻後、ロシア国内では逆に支持率を伸ばしていると言われるプーチン大統領。国民から批判の声などは上がらないのでしょうか?

(モスクワに8年住む廣瀬功さん 4月11日取材)
「そうですね。今年2月までは通常通り、そういった話はいろんな批判の意見も含めてしていましたけれど、3月以降は“フェイクニュースを拡散するのはよくない”という法律ができまして、間違った情報を流布するのはまずいということで、常に言葉には相当神経を使っていますし、出す情報というのにもかなりの配慮をしています。

(ウクライナと行き来が多い人や、家族・知人・友達がウクライナにいる人はどんなことを話している?)自由に行き来ができなくて不便だといった反応ですかね」