アメリカでは「小児の50%以上がPTSD(心的外傷後ストレス障害)」だという研究論文

 

パンデミックが始まった年に、以下の記事を書きました。ロックダウンをおこなった国では、PTSD が時間の経過と共に、とめどなく増加するという予測についての記事です。

[記事]「今起きていることは通常のメンタルヘルス・カタストロフではない」
In Deep 2020年7月18日

ご紹介するのは、2022年の論文ですが、しかし今後もさらに増えると思われます。


COVID-19 パンデミックにおける小児心的外傷後ストレス障害の有病率と関連要因

ncbi.nlm.nih.gov 2022/06/21

Prevalence and related factors of child posttraumatic stress disorder during COVID-19 pandemic: A systematic review and meta-analysis

概要

背景

COVID-19 パンデミックは社会の多くの側面に大きな影響を与え、間接的にさまざまな心理的影響をもたらした。この体系的レビューは、COVID-19 のパンデミックによる子どもの心的外傷後ストレス障害(PTSD)の世界的な有病率を推定すること、また子どもの PTSD に寄与する防御因子や危険因子を特定することを目的としている。

方法

私たちは、PubMed、ProQuest、PsycINFO、Embase、Web of Science、WanFang、CNKI、VIP データベースで体系的な文献検索を実施した。

私たちは、2020年1月1日から 2021年5月26日までに発表された、COVID-19 パンデミックによる児童 PTSDの 有病率と児童 PTSD の一因となる要因を報告した研究を検索した。18件の研究が系統的レビューに含まれ、そのうち 10件の研究がメタ分析に含まれた。

結果

COVID-19 流行後の小児 PTSD の推定有病率は 28.15%だった。

特定地域のサブグループ分析では、パンデミック後の小児 PTSD の推定有病率は、中国で 19.61%、米国で 50.8%、イタリアで 5 0.08%だった

結論

児童 PTSD の要因は、個人的要因、家族的要因、社会的要因、感染症関連要因の 4つの側面に分類された。これに基づいて、私たちは、COVID-19 関連の小児 PTSD の発生と影響をまとめた新しい枠組みを提示した。

これは、今後のパンデミックにおける小児 PTSD のより良い理解、予防、介入の開発に貢献する可能性がある。