日本の大企業・製造業の景況感が 5四半期連続で悪化

 

日銀短観「雇用」より

日本銀行調査統計局


大企業・製造業が5四半期連続悪化、マイナスが目前 3月の日銀短観

朝日新聞 DIGITAL 2023/04/03

日本銀行が3日発表した3月の全国企業短期経済観測調査(短観)は、大企業・製造業の業況判断指数(DI)が5四半期連続で悪化した。前回の昨年12月調査(プラス7)から6ポイント悪化してプラス1となり、マイナスが目前となった。特に悪化しているのが、資源を仕入れ、加工して販売する「素材産業」だ。

全業種の中で最も業況が悪かったのは、石油・石炭製品でマイナス46。紙・パルプ(マイナス25)、木材・木製品(同20)と下位3業種はいずれも素材産業だった。石油・石炭と木材・木製品は前回からともに13ポイント下がり、悪化幅も大きかった。

景況感を冷やしているのは、昨年からの急激な原燃料の高騰だ。

製紙産業では工程で大量の熱と電力が欠かせず、燃料は輸入の石炭や重油が中心になる。昨年は石炭の価格が一時、従来の4倍以上になり、木材やパルプの輸送費なども大きく膨らんだ。

製紙業界関係者は「デジタル化などで紙の需要が落ちる中、値上げを言い出せない環境が続いてきた。今回、さすがに一定の値上げは取引先に受け入れてもらえたが、ずっと我慢してきた分、急激な高騰に追いつかない」と背景を語る。

最近は石炭の価格が下がり始め、為替の円高傾向もあり、「厳しい環境が少し緩和方向に来ているが、予断は許さない」という。