[イベルメクチンの HBV 感染抑制作用を発見]という報道

 

(※) 英単語ばかりの記事ですが、ここに出る importin というのは、インポーチンというもので、これは、インポのチンチンということではなく(まあまあ)、以下のようなもので、つまり「細胞核への輸送を阻害する」ものです。考え方によっては、「どんなものにでも当てはまる」可能性があります。

> インポーチン(importin)は、核局在化シグナルと呼ばれる特定のアミノ酸配列に結合して、タンパク質を細胞核の中に運び込む役割を担う輸送タンパク質である。 Wikipedia

(参考記事) イベルメクチンは世界を変える「奇跡の存在」なのかも。…あるいは「そうなるはずだった」のかも
In Deep 2022年11月23日


イベルメクチンのHBV感染抑制作用を発見 – 熊本大が研究の成果発表

医療介護 CB news 2023/01/20

国立大学法人熊本大学はこのほど、同大学大学院生命科学研究部の田中靖人教授らの研究グループが、イベルメクチンがHBV(B型肝炎ウイルス)感染を抑制する作用を示すことを発見したと発表した。

HBV感染機構の解明や、新規抗HBV治療薬の開発などにつながることが期待されるという。

イベルメクチンは、細胞内の核-細胞質輸送体の「importin α/β」を特異的に阻害することで、1型ヒト免疫不全ウイルス(HIV-1)やデングウイルスなどのRNAウイルスの複製を抑制することが知られている。

田中教授や名古屋市立大学大学院薬学研究科の松永民秀教授、坡下真大講師、北里大学大村智記念研究所の砂塚敏明教授、廣瀬友靖教授の研究グループは、HBVの構成成分であるHBVコアタンパク質(HBc)がimportin α/βで核内に輸送されることに着目し、イベルメクチンによる抗HBV作用を調べた。

その結果、イベルメクチンはNTCP強制発現肝がん細胞やヒト肝キメラマウス由来肝細胞で、cccDNAやHBs抗原を減少させることが分かった。

また、イベルメクチンはHBcやimportin αのサブタイプの1つであるimportin α1(karyopherin α2、KPNA2)の核内における存在量も低下させた。KPNA2の発現を抑制した状態では、cccDNAやHBs抗原の産生が抑えられたことから、KPNA2がHBV感染に関与していることが示唆されたという。

今回の研究で、イベルメクチンがRNAウイルスの複製抑制だけでなく、DNAウイルスのHBVに対しても抑制作用があることを発見し、その抗HBV効果はKPNA2の阻害によるHBcの核内蓄積抑制であることを明らかにした。