(メモ)「複方丹参滴丸」という漢方が、cGAS-STING誘発性疾患を効果的に緩和するという論文

私はこの「 cGAS-STING 経路」というのを理解していないので(細胞質内において二本鎖DNAを認識して、I型インターフェロンを介した防御応答を誘導するらしい)、メモとしたのですけれど、もしかすると、この複方丹参滴丸というものが、ワクチンの影響などによる問題に対処できる可能性があるのかもしれません。何ともいえないですが。

一般的な説明では、 cGAS-STING 経路とは以下のようなものです。

> cGAS-STING経路は、もともと,ウイルスが宿主の細胞質にもち込む“非自己DNA”に応答して自然免疫応答を活性化する経路として同定された。しかしながら、細胞質に漏出した“自己DNA”であっても細胞質に漏出して本経路を活性化し、炎症病態を引き起こすことが明らかになり…yodosha.co.jp

複方丹参滴丸とは以下のようなものです。

> 複方丹参滴丸は丹参、田七、氷片を含む複方製剤で、中国においては、狭心症などの心血管疾患の治療に使われている。chuigaku.co.jp





複方丹参滴丸はSTING-TBK1相互作用を阻害することでcGAS-STING誘発性疾患を効果的に緩和する

sciencedirect.com 2024/06

Compound Danshen Dripping Pill effectively alleviates cGAS-STING-triggered diseases by disrupting STING-TBK1 interaction

概要

背景

環状グアノシン一リン酸(cGAS)-インターフェロン(IFN)遺伝子刺激因子(STING)経路は、自然免疫系において極めて重要であり、細胞質 DNA によって動員される可能性がある。

さまざまな炎症性疾患や自己免疫疾患の進行は、異常な cGAS-STING 経路の活性化と高い相関関係にある

いくつかの cGAS-STING 経路阻害剤が特定されているが、臨床に適用できる薬剤はない。複方丹参滴丸(CDDP)は、世界中の臨床で効果的に使用されているが、最も一般的な用途は心血管疾患に限られている。

したがって、本調査の目的は、複方丹参滴丸が cGAS-STING 経路を阻害し、 cGAS-STING によって引き起こされる複数の疾患の治療薬として使用できるかどうかを調べることだった。

(略)

結果

複方丹参滴丸の効果は、IRF3 (インターフェロン調節因子3)のリン酸化や IFN-β、ISG、IL-6、TNF-α の生成を抑制した。機構的には、複方丹参滴丸は STING オリゴマー化や IRF3-TBK1、STING-IRF3 相互作用には影響しなかったが、STING-TBK1 相互作用を著しく排除し、最終的に下流の反応を阻害した。

さらに、複方丹参滴丸は、生体内で DMXAA (血管破壊剤として作用する)によって引き起こされる cGAS-STING 経路の活性化を抑制できることも明らかにした。

一貫して、複方丹参滴丸は Trex1 −/−マウスモデルにおける多臓器炎症反応を軽減し、肥満誘発性インスリン抵抗性などの炎症性疾患を軽減することができた。

結論

複方丹参滴丸は cGAS-STING 経路を特異的に阻害する。

さらに、私たちは、複方丹参滴丸の新しいメカニズムを提供し、cGAS-STING によって引き起こされる炎症性疾患や自己免疫疾患の治療のための臨床薬を発見した