ゾンビ企業:世界で最も負債に苦しむ企業のランキングが急上昇、すべてが生き残るわけではない
AP 2024/06/08
Zombies: Ranks of world’s most debt-hobbled companies are soaring, and not all will survive
負債が膨大で生き残りをかけた状態にあり、ローンの利子さえほとんど払えない、そして事業が失敗すれば永久に消滅してしまうような企業は「ゾンビ企業」と呼ばれている。
AP通信の分析によると、上場企業の数は世界中で約 7,000社に急増しており、米国だけで 2,000社に上る。これらは、何年にもわたる低利債務の積み上げと、それに続く根強いインフレによって借入コストが過去 10年間で最高水準にまで押し上げられたことで打撃を受けている。
そして今、これら主に中小規模でダメージを受けた多くの企業は、返済できないかもしれない数千億ドルの融資の返済期限が迫る中、まもなく審判の日を迎えることになるかもしれない。
過去 2回の株価暴落前に株価下落に賭けたことで有名なマイアミの投資家マーク・スピッツナゲル氏は、「時間は刻々と過ぎている」と付け加えた。
ゾンビ企業とは、一般的には過去 3年間の営業利益が融資の利子さえ支払えないほど少なかった企業と定義される。
AP通信の分析によると、オーストラリア、カナダ、日本、韓国、イギリス、アメリカで過去 10年間にゾンビ企業の数が 3分の 1以上増加している。
過去 10年間で企業数は全体的に増加しており、比較は困難だが、10年前に存在していた企業に分析を限定した場合でも、ゾンビ企業は 30%近く増加している。
その中には、公共事業会社、食品製造会社、ハイテク企業、財政難でパンデミックへの対応に支障をきたした病院や老人ホームチェーンの経営者、大都市の中心部にある半分空室のオフィスビルに苦戦している不動産会社などが含まれる。
ゾンビ企業の数が増えるにつれ、破産申請や永久閉鎖を余儀なくされた場合の潜在的損害も増大している。AP通信の分析対象企業は 12カ国以上で少なくとも 1億3000万人を雇用している。
すでに米国企業の倒産数は 14年ぶりの高水準に達しているが、これは景気拡大時ではなく景気後退時に予想される急増だ。カナダ、英国、フランス、スペインでも企業倒産数が最近、ほぼ 10年以上ぶりの高水準に達している。
専門家の中には、欧州中央銀行が今週開始した金利引き下げにより、ゾンビ企業は人員削減や事業部門の売却、あるいは破綻を回避できるかもしれないと指摘する者もいるが、散発的な債務不履行や倒産が依然として経済の足かせになる可能性もある。
一方、ウォール街はパニックには陥っていない。投資家たちはゾンビ企業やその「ジャンク債」、つまり格付け会社が最も債務不履行のリスクが高いとみなす債券の株式を購入し続けている。
短期的にはそれがゾンビ企業の資金調達に役立つかもしれないが、こうした証券に資金を注ぎ込み価格を押し上げている投資家たちは、最終的に大きな損失に直面する可能性がある。
「公開市場で前例のないレベルでギャンブルをする人たちがいる」と、ゾンビ企業の資金流出を追跡する投資調査グループ、ニュー・コンストラクト社の責任者、デビッド・トレーナー氏は言う。「彼らはリスクを認識していない」