小さな子どものオミクロン感染では、「発作と意識障害」が他の変異種と比較して格段に多いことが日本の研究で判明

 

東京都立豊島病院小児科などによる論文をご紹介します。オミクロン自体の問題なのか、小さな子どもたちの身体の変化のほうの問題なのか…。

以下は、1年ほど前のものですが、オミクロンで集中治療室などへ入室した小児、つまり重症化した小児の年齢層は、「 90%以上が小学生以下」で、「60%以上が、5歳以下」なんです。


日本集中治療医学会、小児集中治療委員会

これについては、以下の記事にありますが、今年も同じようなことが起きるのですかね。

(参考記事)パンデミック以来最大の危機が迫る中、「日本のコロナ死と小児の重症化」に関するショッキングなデータの内容を知る
In Deep 2022年12月31日


SARS-CoV-2 オミクロン変異種は、小児患者においての発作と意識喪失の頻度が高い

frontiersin.org 2023/11/15

High number of seizures and unconsciousness in patients with SARS-CoV-2 omicron variants: a retrospective study

現在、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス 2 (SARS-CoV-2) のオミクロン変異体による流行が続いている。SARS-CoV-2 変異型には臨床的特徴に違いがあり、我々は、SARS-CoV-2 オミクロン変異型を持つ小児におけるコロナウイルス感染症(COVID-19)の臨床的特徴を評価するためにこの研究を実施した。

この研究には、2020年1月から 2022年10月までに東京都立豊島病院に到着した新型コロナウイルス感染症の小児が含まれている。

SARS-CoV-2の 非オミクロン変異を持つ小児 214人と、オミクロン変異を持つ小児 557人の臨床的特徴が比較された。

SARS-CoV-2 オミクロン変異グループでは、より多くの患者が発熱、喉の痛み、吐き気および/または嘔吐、発作および/または意識障害を患っていた。

SARS-CoV-2の非オミクロン変異体では、発作や意識障害を起こした患者は 1人だけだったのに対し、オミクロン変異体では 92人の小児がいた

これら 92人の患者のうち、46 人 (49%) が単純な熱性けいれんと診断された。23人(25%)が複雑な熱性けいれんを伴った。

10人(11%)がてんかん重積状態。そして 2人(2%)が脳症を患っていた。

彼らの平均年齢は 4.0 ± 3.0 歳だった。

SARS-CoV-2 のオミクロン変異体は小児に発作や意識障害を引き起こす可能性が高く、その年齢分布は他の熱性けいれん患者よりも広かったが、インフルエンザ患者の年齢分布と同様だった。

新型コロナウイルス感染症やインフルエンザ患者の臨床現場では、臨床医はこれらの特徴を認識しておく必要がある。