2023年の「飲食業」倒産が過去最多を更新 人件費や食材費、光熱費の高騰で苦境に
東京商工リサーチ 2024/04/10
~ 2023年「飲食業の倒産動向」調査 ~
2023年の「飲食業」倒産(負債1,000万円以上)は、893件(前年比71.0%増)に達し、コロナ禍の需要激変で倒産が急増した2020年の842件を抜き、過去最多を更新した。
コロナ関連支援策の終了や縮小に加え、客足や業績がコロナ禍前に戻らないまま、深刻な人手不足や物価高が収益を圧迫し、倒産を押し上げた。
また、「新型コロナ関連」倒産も548件(同71.7%増)と大幅に増加した。飲食業倒産に占める構成比は61.3%(前年61.1%)と2年連続で6割を超え、アフターコロナでも飲食業は厳しい環境に置かれている。
コロナ禍での外出抑制や新しい生活様式、時短営業や休業でアルバイトやパートなど従業員を削減した。だが、コロナ禍が落ち着いても離職した従業員は戻らず、深刻な人手不足に見舞われている。
2023年の飲食業倒産では、「人手不足」関連倒産が集計を開始した2013年以降で最多の51件(前年28件)発生した。
「物価高」倒産も59件(同9件)と前年の6倍超に急増し、コロナ禍の売上減少から回復できないまま、コストアップで資金繰りが悪化した飲食業者は少なくない。
特に、コロナ禍で市場が急拡大した「宅配飲食サービス業」を中心に、「専門料理店」、「居酒屋」の3業種は過去最多を更新した。増加率では、「持ち帰り飲食サービス業」55件(前年比175.0%増)、「宅配飲食サービス業」67件(同97.0%増)の急増ぶりが目立った。
飲食業倒産、前年の1.7倍に増加で過去最多
2023年の「飲食業」倒産は3年ぶりに増加し、過去最多の893件(前年比71.0%増)だった。
コロナ禍前の2019年は、人手不足と消費増税で飲食業界に厳しい環境が続き、飲食業の倒産は799件と東日本大震災のあった2011年(800件)に次いで、過去2番目に多かった。
2020年は新型コロナ感染拡大と相次ぐ緊急事態宣言の発令で、過去最多だった2011年を上回る842件発生した。その後、手厚いコロナ関連支援の下支え効果で、飲食業倒産は2年連続で大幅に抑制された。
2023年は5月に新型コロナ感染症が5類に移行し、インバウンド需要や人流の回復を中心に、アフターコロナへの動きが急ピッチで進んだ。一方で、各種コロナ関連支援は終了や縮小が相次ぎ、コロナ禍から業績が回復していない飲食業者は資金繰りに苦慮している。
さらに、食材をはじめとする原材料費や光熱費の高騰、人手不足や最低賃金改定に伴う人件費の上昇、価格転嫁による客足の減少など、飲食業者の収益を圧迫する課題は山積している。
飲食業倒産は、月次でも2022年11月から14カ月連続で前年同月を上回った。食材費や光熱費、人件費といったコストの上昇に収束の兆しは見えず、今後も飲食業の幅広い業態で廃業や倒産が増勢を強める可能性が高い。
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