ここに出てくる農薬の「チアベンダゾール」は防かび剤、「ホスメット」は殺虫剤です。ホスメットは劇物指定されています。
また、クロロックス漂白剤とは、日本でいうハイターのようなものだと思われます。
リンゴの表面および内部の残留農薬を除去する市販および自家製の洗浄剤の効果
pubs.acs.org 2017/10/25
Effectiveness of Commercial and Homemade Washing Agents in Removing Pesticide Residues on and in Apples
概要
生鮮食品から残留農薬を除去することは、人体への農薬暴露を減らすために重要だ。
この研究では、リンゴの表面および内部に残留した残留農薬を除去する際の、市販および自家製の洗浄剤の有効性を調査した。
表面増強ラマン散乱 (SERS) マッピングと液体クロマトグラフィータンデム質量分析 (LC-MS/MS) 法を使用して、残留農薬を除去する際のさまざまな洗浄剤の有効性を測定した。
その結果、表面残留農薬は、水道水、またはクロロックス漂白剤と比較して、「重炭酸ナトリウム (重曹、NaHCO 3 ) 」溶液によって最も効果的に除去された。
10 mg/mL の重曹洗浄溶液を使用すると、125 ng/cm 2 の濃度で適用されたこれらの殺虫剤に 24 時間暴露した後、チアベンダゾールまたはホスメットの表面残留物は、チアベンダゾールで 12分、ホスメットで 15分で完全に除去された。
しかし、LC-MS/MS 分析の結果は、24時間の曝露後に、適用されたチアベンダゾールの 20% と適用されたホスメットの 4.4% がリンゴに浸透したことを示した(※ 表面だけではなく、リンゴの内部にも入っていた)。
浸透性殺虫剤であるチアベンダゾールは、非浸透性殺虫剤であるホスメットよりもリンゴの皮の 4倍深く浸透し、リンゴ内部により多くのチアベンダゾール残留物が生じ、この内部の残留農薬については、重曹洗浄液を使用しても洗い流すことができなかった。
また、この研究により、クロロックス漂白剤を 2分間使用するという標準的な収穫後の洗浄方法は、リンゴの表面に残った農薬を完全に除去するのに有効な手段ではないという情報が得られた。
重曹水での洗浄は、リンゴの表面残留農薬を除去するのに最も効果的だった。重曹の存在下では、チアベンダゾールとホスメットが分解する可能性があり、これが洗浄による物理的な除去力を高める。
しかし、重曹水は、リンゴの皮に浸透した残留物を除去するのに完全には効果的ではなかった。残留農薬をすべて除去する方法の全体的な有効性は、農薬が果物の奥深くまで浸透するにつれて減少した。
日常での実際の応用として、重曹溶液でリンゴを洗浄すると、主に表面から農薬を減らすことができる。浸透した農薬まで除去するには皮をむいたほうが効果的だ。ただし、皮に含まれるリンゴの生理活性化合物も失われる。