外来 DNA がヒト染色体に組み込まれる割合は「1000分の1程度」という横浜市立大学のニュースリリース

 

1万人に10。
10万人に100。
1億人で…は計算できません。

以下はニュースリリースからの抜粋です。


「ヒト細胞の染色体に外来遺伝子が組み込まれるメカニズムを解明」より

横浜市立大学 ニュースリリース 2017/07/12

外来遺伝子を細胞の中に導入すると、ごく稀に染色体中のランダムな位置に取り込まれます(およそ1,000個の細胞に1個の割合)。

この現象は、タンパク質の機能解析をはじめ、有用タンパク質の大量産生、遺伝子組換え作物やiPS 細胞の作製など、さまざまな分野に利用されてきました。

しかし、こうしたランダムな組込みによって重要な遺伝子が壊れたり働いてはいけない遺伝子が働いたりする恐れがあるため、本来であれば染色体中の狙った位置に外来遺伝子を組み込ませるほうが安全かつ好都合です。

ところが、このような「狙い撃ちの組込み(これを遺伝子ターゲティングと呼びます)」はランダムな組込みの1,000分の1以下の頻度でしか起こらないため、高い効率で遺伝子ターゲティングを行うためにはランダムな組込みをほぼ完全に抑制しなければなりません。

この戦略の実現に向けさまざまな研究が行われてきましたが、ヒト細胞での大きな成功例はありませんでした。ランダムな組込みは一見とても単純な生命現象ですが、実際の反応は複雑な再編成を伴うことが多く、その分子メカニズムは 30年以上も不明のままでした。

外来遺伝子の組込みは染色体が切れている場所で起こりやすいと考えられています。

染色体の切断(二本鎖DNA 切断)は再連結されないと細胞死や癌化を招いてしまうため、相同組換えや非相同末端連結(NHEJ)、によって速やかに修復されます。

「狙い撃ちの組込み」には相同組換えの働きが必要不可欠です