アート・ベアーズ
ロックというのは、十数万年に及ぶと思われる現世人類の歴史の中で、ほんの数十年の「瞬間」の産物だったわけで(音楽そのものの歴史は長いでしょうけれど)、そして、「これから消えていく」ものでもあります。
というか、消えていかなければならない。
男性「性」の極致ともいえる表現形態のロックは、未来の音楽にはふさわしくはないです。
まあ、それでも、私などは、人類史の歴史の「この瞬間」に生まれたことによって、ロック時代を楽しむことができたわけで、恩義はあります。
そして、ロックの曲の中にも女性「性」と男性「性」が正面からぶつかるというものも多少なりともあって、それが成功した時にはとんでもなく奇跡の名ユニット、あるいは名曲として歴史の中に残ります。
Art Bears – Moeris Dancing (1978)
この男性2人(演奏)と女性1人(ボーカル)のアート・ベアーズというユニットは、まさにそんなバンドのひとつだったかもしれません。
消えていくロックの記憶の中に、いくつか残るこの男性性社会だった 2000年間の終わり頃の「融合の気配」というものを漂わせているような気もします。
ちなみに、この曲の収められたアルバムのタイトルは「Hopes and Fears (様々な希望と様々な恐れ)」というものでした。