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グルコサミンが認知症の進行を早める? 新たな研究結果が波紋
wired.jp 2026/06/22
関節の健康のためのサプリメントとして知られるグルコサミンが、アルツハイマー病患者の死亡リスクを高める可能性が最新の研究で明らかになった。過去に「正常な認知機能をもつ成人の認知症リスクを低下させる」との研究結果もあったことから、波紋を呼んでいる。

関節痛や関節炎を緩和するサプリメントとして市販されているグルコサミンは、米国では年間 4,000万人以上が摂取しているとされる。医師の処方箋なしで購入できることもあり、手軽な健康維持の手段として定着している。さらに、正常な認知機能をもつ成人の認知症リスクを低下させることも、過去の研究結果で示されていた。
だが、アルツハイマー病が進行している人にとっては、このサプリメントが思わぬ悪影響をもたらすかもしれない。
1年以上にわたってグルコサミンを摂取していたアルツハイマー病などの関連認知症(ADRD)の患者は、そうでない患者と比べて 5年以内の死亡リスクが約 25%も高いことが、フロリダ大学による最新の研究で明らかになったのだ。
また、記憶障害の初期症状である軽度認知障害(MCI)の段階でグルコサミンを摂取していた人がアルツハイマー病へ移行するリスクも、摂取していなかった人と比べて約 25%高かったという。
「これまでの研究では、グルコサミンサプリメントが正常な認知機能をもつ成人の認知症リスクを低下させることが示されています」と、フロリダ大学の准教授で生化学と分子生物学が専門のラモン・C・サンは説明する。
「グルコサミンは健康な脳に対しては保護的な効果をもたらす可能性がありますが、すでに認知機能の低下が始まっている脳に対しては有害となりうるのです」
脳に蓄積する余分な糖の皮膜
脳細胞やタンパク質の表面には「N-グリカン」と呼ばれる短い糖鎖が付着しており、タンパク質の立体構造を維持したり、他のタンパク質との結合を助けたりする役割を担っている。ところがアルツハイマー病患者の脳では、この「グリコシル化」という糖鎖の付着プロセスが過剰に進んでいるという。
サンらの研究チームは、アルツハイマー病患者と健常者の脳組織を、脳のどの部位にどんな分子があるのかを画像化する質量分析イメージング技術によって詳細に比較した。
その結果、アルツハイマー病患者の脳では、灰白質と白質の両方で糖鎖の量が著しく増加していることがわかった。
この「過剰グリコシル化」は、アルツハイマー病の進行度を示す「Braak病期」 (※ アルツハイマー病における脳の病理学的変化の進行度を6つの段階に分類したステージング)が進むにつれて悪化していた。
ヒトへの影響については、フロリダ大学ヘルスシステムが保有する匿名化された電子カルテを用いることで、後ろ向きコホート研究(過去にさかのぼって追跡する研究)として分析が進められた。
アルツハイマー病に関連する疾患(ADRD)を抱える 24,481人と、軽度認知障害を患う 41,884人のデータを対象に、グルコサミンを少なくとも1年以上服用していた患者とそうでない患者を比較した。