「日本の優秀な研究者が続々中国へ」という西日本新聞の報道

国家というのは、「頭脳の流入」が国を大きくし、そして、「頭脳の流出」が国を衰退させると、ディーゲルは述べています。In Deep のこちらの記事に、以下の部分を抜粋しています。

> 過去、特に 20世紀において、アメリカ合衆国が巨人国家へと躍進を遂げた鍵は移民だった。人口増加が信用拡大を支え、世界からの頭脳流入がアメリカ合衆国に利益をもたらした。

そして、頭脳が外へ流出していくことは崩壊につながると。




日本の優秀な研究者が続々中国へ 潤沢な予算、基礎研究も重視…環境に魅了

西日本新聞me 2026/05/26


中国に渡って研究を続ける須田年生氏

研究力の指標とされる注目論文数で世界トップの中国に、日本の優秀な研究者が自ら志願して続々と拠点を移している。

かつては中国側が定年後の教授をスカウトするケースが多かったが、近年は潤沢な研究費を求めて中国を目指す若手研究者が目立ち始めているという。一方、日本の大学では予算が年々減らされるなど研究環境は厳しさを増しており、もはや優秀な研究者から選ばれない国になりつつある

「研究費申請が通りそうだから、来ないか」。2024年春、日本を代表する血液学者の須田年生氏(76)=造血幹細胞学=は知人から誘われ、北京協和医学院の天津キャンパスに赴任した。

熊本大や慶応大に勤務時は、研究費の獲得に日々奔走。国や民間機関への研究費申請と報告書の作成に追われた。研究施設には修繕費が足りないため、故障したままの機器も少なくなかったという。

中国では、研究環境が全く違った。専門の白血病やリンパ腫の研究に必要な1台約5千万円の最新機器をそろえ、メンテナンス担当者を置いて修繕管理まで徹底する。

日本では予算がつきにくい基礎研究も重視される。「全てが成果につながらないことも見据えた上での投資。以前は日本もそうだった」と振り返る。

競争は極めて激しいが、高い報酬に手厚い住居支援もある。何より研究だけに集中できる環境に満足しているといい「日本に戻る選択肢はない」と言い切る

文部科学省の科学技術・学術政策研究所の報告によると、2000年代に注目論文数で8位だった中国は、20年代に総論文数ともに世界トップに立った。

中国の江南大で環境材料学を研究する岡島麻衣子氏(55)=熊本市出身=は昨年夏、現地で出会った若手研究者に驚いた。日本有数の研究所出身で将来を有望視される人物だった。一般公募で中国に来ており「中国はもはや、優秀な研究者に選ばれる国になった」(岡島氏)。

彼女自身、23年夏に当時勤務していた日本の大学から研究室ごと引き抜かれた。2、3年の予算しか組めない日本と違って、中国では10年単位の予算を柔軟に使い、大きな研究計画を立てることができる。充実した職場環境に研究意欲は一層高まっており「もっと早く来ておけば良かった」と話す。

優秀な研究者が次々と日本を離れる現状を、関係者はどうみているのか。東京大の丸川知雄教授(中国経済論)は「科学の成果は公開の論文で世界に発表される。どこから発表されようと人類全体に貢献できる」と問題視しない。

ただ、後進育成への影響を懸念する声も。九州大の大場正昭教授は「優秀な研究者と実際に触れ合うことの教育効果は大きい。そうした人材が日本からいなくなる損失は大きいし、何より悲しい」と漏らした。