2024年の「飲み屋さん」の倒産が過去最多に





2024年度「飲み屋」さんの倒産 最多の276件 値上げが難しく、食材・光熱費の高騰などが直撃

東京商工リサーチ 2025/04/07

2024年度の「酒場,ビヤホール(居酒屋)」と「バー,キャバレー,ナイトクラブ」など、飲み屋さんの倒産は276件(前年度比17.4%増)だった。

2年連続で前年度を上回り、1989年度以降では、最多だった前年度(235件)を上回り、過去最多を更新した。 

一方、負債総額は184億5,900万円(前年度比39.9%減)で、2年ぶりに前年度を下回った。

コロナ禍が落ち着き、外国人観光客やサラリーマンの“ちょいと一杯“需要が戻り、街は賑わいをみせている。ただ、円安で食材や光熱費が高騰し、従業員確保でも人件費アップが避けられない状況に直面している。 

馴染みさん相手の小・零細規模の飲み屋さんは、コストアップを価格転嫁するのは難しく、街の喧騒とは裏腹に経営は厳しさを増しているようだ。

飲み屋さんの倒産は、「酒場、ビヤホール(居酒屋)」が過去最多の185件(前年度比6.9%増)だった。会社の交際費が戻らない「バー、キャバレー、ナイトクラブ」も91件(同46.7%増)と大幅に増えて、15年ぶりに90件台に乗せた。

小規模の飲み屋さんは、コロナ禍のゼロゼロ融資などの支援で膨らんだ過剰債務の解消が遅れ、そこに物価高、人手不足が押し寄せている。

来店客の増加には値上げも容易ではなく、好調な飲食店と八方塞がりの飲食店の二極化で、このままでは倒産や休廃業が加速する可能性が高い。

人件費や食材費、光熱費の上昇が続くが、メニュー価格への転嫁は来店客が落ち込むリスクを抱えている。新メニュー開発も難しい小・零細規模の飲み屋さんは、まだ苦難の道が続きそうだ。