[中国でイベント中止・活動停止相次ぐ-当局が圧力か、理由不可解]というブルームバーグ報道

 

(※) そのうち記事にしようと思っていますが、中国の「第二次文化大革命」は、新しい次元に入っています。こういう外国からの娯楽イベントなどは、ほとんど許可されなくなるのではないでしょうか。


中国でイベント中止・活動停止相次ぐ-当局が圧力か、理由不可解

ブルームバーグ 2023/05/22

北京郊外で20日に予定されていた野外コンサートは昼過ぎにスタートするはずだった。外国人を含む10組のアーティストが「魂を癒すアコースティック音楽」を生演奏することになっていた。

バーベキューの串焼きやクラフトビールを売るブースの近くには折りたたみ椅子などが置かれ、風を楽しみながら、新型コロナウイルス時代の制限からの解放感を満喫したいと願う来場者たちが集まり始めていた。

だが、ボランティアがステージに上がり「予期せぬ事態」でコンサートが延期になったと告げた。主催者側は警察から退去を命じられたことを明らかにした。

中国語での「予期せぬ事態」は、警察もしくは他の政府機関などが国家や社会に有害だと見なす活動をやめさせるルールを執行もしくは圧力をかけることを指し示す婉曲表現だ。サプライヤーの制御が及ばないとして法的責任を免除する「不可抗力」と同義になる。

中国ではここ1週間ほど、芸術やビジネスに関するこうしたイベントの中止が相次いでいる。

背景にあるとみられるのが、当局が習近平国家主席の軍事スローガンをお笑い芸人がジョークにしたとして、トークショーの運営会社「笑果」に罰金1340万元(約2億6300万円)を科し、少なくとも2つの主要都市での公演を「無期限」に停止としたことだ。

北京市文化観光局は17日、笑果と「ハウス」という名で芸能活動をしている李昊石氏が人民解放軍を「著しく侮辱」したとする声明を出した。遼寧省大連市の公安当局は同日、李氏の活動停止を疑問視していた34歳の女が16日夜に拘束されたと発表した。

上海でのテクノロジー業界の女性起業家が集まる大会や広州での日本人コーラスグループのコンサートも中止となったが、こうしたイベントは政府批判とはあまり関係がないように思える。

事前承認

北京在住のある音楽家は政治的に敏感な問題だとして匿名を条件に、ライブや文化イベントに対する取り締まりはお笑い芸人の問題と関係しているとの考えを示した。ただ、そうした取り締まりは、外国人やもっと人気のあるバンドや出演者が主要なターゲットになることが多いという。

愛媛県の禅僧が結成した日本のコーラスグループ「キッサコ」は17日夜、広東省広州市での公演が突然中止となった。ソーシャルメディアの微博上の同グループ公式アカウントへの投稿によれば、この公演の中止は政府機関が命じたもので不可抗力だという。キッサコ側にコメントを求めたが、すぐに返答はなかった。

14日に予定されていた「レディーズ・フー・テック」年次大会も不可抗力で中止になったとしている。主催団体は科学・テクノロジー・エンジニアリング・数学分野における女性人材の不足に対する認識を高め、企業がダイバーシティー(多様性)を高めることを支援しているという。

団体関係者によれば、1日限りで予定されていた大会には1700人の申し込みがあった。講演者には外国人も含まれるがほとんどが女性で、人工知能(AI)から起業家精神、ESG(環境・社会・企業統治)まで幅広いテーマについて話し合うはずだったという。

15日には性的少数者(LGBT)の差別解消に取り組んできた「北京LGBTセンター」も不可抗力を理由に活動停止を発表した。

北京でのフォーク音楽イベントに出演を予定していたミュージシャンによると、中国での公演は厳密には文化観光省の地方局から事前に許可を得る必要があるが、これまではそれほど厳しくなく、多くの公演が事前承認なしに行われたという。 

北京市公安局朝陽区支部は野外コンサートの中止についてコメントを求めるファクスにすぐに返答しなかった。 

野外コンサートの主催者側からもコメントは得られていない。主催者はソーシャルメディアの微信に 「予期せぬ事態のため、本日のイベントを延期せざるを得なくなった。たいへん申し訳ない」と入場券を持っていた人々に充てたメッセージを投稿した。