フリーでGO! 中野・狂乱ナイト2 - あやしいマッサージ編
冒険心の果てに
中国人の女性は、立っていた場所から少し離れたビルの前まで行き、「ここです」と言って、その建物に入っていきました。
飲食店に挟まれた、いわゆる雑居ビルのひとつで、敷地面積がものすごく狭い細長いビルでした。
ビルに入り、エレベータに乗って、その何階かにあるドアの中に「部屋」はありました。
玄関を入ると中はかなり雑然とした様相を呈していました。
そして、部屋の作り自体がとても妙な感じで、私はワンルームマンションか何かを想定していたのですが、そうではなく、多分これは自分でビルを改装しているのでしょう。
玄関から入ったフロアにひとつ部屋への入り口があり(入り口があるということはそこが一部屋ということ)、そこから上に向かって木製のハシゴじみた階段が設置されていて、2階、3階という構造になっていて、それぞれのフロアに部屋がひとつだけある。
建物自体が相当面積の狭いビルで、そこに無理矢理いくつもの間仕切りや上下階を作って、部屋を増やしているようです。
地震等が来たらえらいことになりそう。
見た限りでは部屋は3つあるようで、つまりお客さんを3人まで収容できるようです。
中国人の女性は、階段を「こっちどうぞ」と上がっていきます。
引き戸を開けて入ったその部屋は、面積は二畳くらい。高さは立つと天井が頭についたので、人の背よりも低いということになります。
そこに一畳ほどのマットが敷いてあります。
他には冷房があるくらいで、あとは何の設備もありません。
そして、照明は薄暗くて、隣に座っている中国人の女性の顔も見えにくいくらいです。
闇の中で見知らぬ男女がごくごく狭い中で座っているという不思議な構図になっています。
「なんか・・・むかし映画で見たアヘン窟みたいだな」と思いましたが、それはそれで何だか自分が映画の中にいるような感じでもあり、それほど悪い感じではありません。
△ 1920年代の上海のアヘン窟の写真。これを真っ暗にした感じですね。
とりあえず横になれるのは嬉しい。
今日は8時間くらい飲み続けていて、そろそろ疲れも限界な感じでした。
彼女は横になった私の足下にちょこんと座っていました。
ルール破りの罪と罰
「さて・・・と」
やはり、私は確認しておきたいと思っていました。
「さっきの話は本当? つまり、マッサージだけなら3000円でいいというのは」
「本当です」
「あ、そうですか」
ちょっと拍子抜けしました。
店というか、この建物に入った途端に返事が変わるというようなことも普通に想定していたので、この返事はかなり素直な話です。
「3000円は最初に払えばいい?」
「はい」
というわけで、3000円払って、横になったまま彼女と話を始めました。
名前なども聞いたのですが、覚えられませんでした。
彼女が暮らしていた中国の町の名前も、私が初めて聞くもので、やはり覚えられませんでした。
「ぶっちゃけ、本番はいくらプラスになるの?」
「2万円です」
「ああ、そうなのか」
まあ、私は相場等よく知りませんが、総額2万3千円なら驚くほど高いということもないのかなあとは思います。
「かえって悪かったね。本来なら2万3千円なのに、ただの3千円の客になっちゃって」
「そんなことないです」
「だから、きみも適当に時間つぶすとか、他の客探しにいったりしててもいいよ。オレは休んでいるから」
「マッサージします」
「いいよいいよ(笑)。マッサージは得意じゃないでしょ。それくらいならきみも休んでなよ。こんな早朝まで働いてるのは大変なんだし」
そのうち、さらに酔いが回ってきたのと、何だか心地よかったのとでボーッとしてきて、たくさん話はしたのですけど、ほとんど覚えていません。
ただ、こちらから話し続けていた気はします。
こういう女の子、まして外国人の女の子の話を聞ける機会なんてそうそうないのですから。
一番私が興味を持ったことは、彼女の日本語の上手さでした。
「いつ日本に来たの?」
「2月」
「今年の?」
「そう」
「じゃ、半年でそんなに言葉がうまくなったの?」
「そんなにうまくないですよ」
「いや・・・発音とかすでに普通の日本語だよ」
以前、チャイナガールで書いた中国人もそうでしたが、日本に来る中国人の女の子で日本語の上手な子は結構会っています。
一般論として、「早く外国人が外国語を習得する方法」として、
・接客業につく
・その言葉を話す異性と暮らす
の2つが近道だというのがあります。
この中国人の彼女は前者ではないので、後者なのでしょう。
30分か1時間くらい経った頃、ブザー(?)か何かがなり、彼女は出て行きました。
少しして彼女が帰ってきました。「時間かな?」と彼女に言うと、
「あと3000円払えます?」
「は?」
「そしてもう少しいて下さい」
「時間なら帰るよ」
「3000円お願いします。あとは時間は大丈夫です」
よくわかりませんが、キャバクラ感覚なら3000円はどうということでもないので、払いました。「ありがとう」と何度か言っていました。このあたりはちょっと意味不明な部分ですが、居座っていた私に問題はありそう。
夜の町では私は基本的にお人好しです。
張り合ったところで、何の見返りもないことは知っています。
時計を見ると、5時を過ぎていました。
そろそろ帰ることにしましょう。
彼女はエレベータで外まで送りに来てくれました。
彼女は、
「いい人ですね」
と言ってくれましたが、本当は違うことを私は知っています。
2万3千円払って、それでも何もしないのならともかく、私のは単なるルール破り。
好奇心の代償に3000円を払っただけの通りすがり。
ルールを破る人間は本来は迷惑なのです。
彼女も次第にそのことに気づくのかも知れません。
気づいてほしくないですが。
» フリーでGO! 中野・狂乱ナイト1 - メイドバー初体験に戻る