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バンコクの夜

 
バンコクの夜
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バンコクの夜  コラム


【4日目】

ナットさんたちとの待ち合わせは午後4時です。私たちはこの日の深夜の飛行機で帰ることになっています。ナットさんたちも当然、夜は仕事があります。
そんなわけで、ほんの2〜3時間、お茶でも飲むつもりでした。
まあ、その通りになったのですが、結局、この日、私たちがナットさんに会ったことで、彼女に対しての思い出はさらに強いものとなってしまいました。

ちなみに、結論でいえば、アンさんは来ませんでした。
そういう意味では、アンさんの方がはるかにプロだと私は思いました。金にならない日本人に意味なく付き合う義理などないはずです。
しかし、ナットさんはやってきました。

場所は伊勢丹の最上階。
ボーリング場や大きなシネマ・コンプレックスが連なっている一種のアミューズメントプレイスなのですが、ボーリング場はちょうど満員で入れませんでした。
仕方ないので、ナットさんが好きだというスターバックスでコーヒーを飲むことにしました。ところがスターバックスも満員で、さらに仕方なく、われわれは別のファーストフード屋に入りました。

完全なシラフでナットさんと話すのはこれが初めてです。
相変わらずの片言会話でしたが、彼女が日本人に対してこうまでよくしてくれているのにはひとつの理由があるようなのでした。

「私 恋人 日本人」
「え? 日本人の恋人がいるんだ?」
「7 月 前」
「7ヶ月前まで?」
「そう」
「今は」
「日本 帰った 大阪」
「そうなんだ」
「写真ある 見る?」

られたものらしくて、ナットさんはお店のユニフォーム姿でした。ナットさんは自分とその日本人男性が写っている部分だけをハート型に切り抜いていました。

「私 日本人 好き」
「その人のことが忘れられないんだ」
「うん」
「会いたい?」
「会いたい」
「また会えると思う?」
「・・・・・」

ナットさんは黙り込んでしまいました。


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