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バンコクの夜

 
バンコクの夜
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バンコクの夜  コラム



(続き)


べては推定ですが、こういうことだと私は考えました。多分、彼は日本企業の駐在員か何かでタイに長期滞在している時にお店でナットさんと知り合ったのでしょう。そして、「きみはオレの恋人だ」という流れにもっていって、タイにいる間の恋人にしていたのだと思われます。
そして、駐在期間が終わり、彼は日本に帰ったわけですけれど、もう、彼はナットさんのことなど忘れたか、あるいは日本に家庭でもあるのかもしれません。
要するに、タイで体のイイ愛人を手に入れたという感じだと推定されます。
それが証拠に、

「手紙や電話は来る?」ときくと、ナットさんは黙って首を横に振りました。
手紙さえも寄こさない元恋人の写真を大事に大事に仕舞って、思い出に生きているナットさんにかける言葉はありません。

何だか、楽しくデートをするためにここに来たはずなのに、場はあからさまに重い雰囲気となってしまいました。

「そろそろ・・・帰ろうか。ボーリングもできないみたいだし」

と私は切り出しました。
そして、私たちはそこでナットさんと分かれることにしました。
 帰り際、当然の礼儀として、ナットさんにお店までのタクシー代を渡そうとしました。すると彼女は「いらない だいじょぶ」と言うのです。
実はさっき、ナットさんが財布から写真を取り出す時に、彼女の財布に300バーツ(900円)くらいしか入っていないのを見てしまっていたということもあ り、「ここまで来てもらって、タクシー代を渡さないわけにはいかないよ」と強く言ったのですが、「だいじょぶ だいじょぶ」の一点ばりでした。

最後に私はナットさんと握手をしました。
そして、私は彼女に、

「あなた いい人」と言いました。これは本心です。彼女も、
「ありがとう」と言ってくれました。

それに対して私は、お店で彼女に教わったタイ語での「ありがとう」をオカマ風に言う私のベタなギャグ(コップクン・カー)をかますと、彼女はまた思いっきり笑って、人混みの中に消えていきました。

その後、私たちは居酒屋のようなところでしばらく酒を飲み、さらに、アソークのカウンターバーの先日引きずり込まれた店とは違う店に入り、タイ人の女の子たちと何となく語るでもなし、騒ぐでもなし、といった時間を過ごしました。


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